トルコのeコマース市場、2019年に39%成長

(トルコ)

イスタンブール発

2020年05月14日

トルコ情報科学産業協会 (TUBISAD)が4月29日に発表した「トルコにおけるeコマース~2019年の市場規模」レポートによると、トルコのeコマース市場は前年比39%で拡大し、売上高は約831億リラ(約1兆2,465憶円、1リラ=約15円)に達した(添付資料表1参照)。トルコの2019年のインフレ率は11.8%で、eコマース市場の拡大がインフレ率を大きく上回った。通貨のリラ安は続いているものの、米国ドルベースでの成長も18%増となっており、好調な伸びをみせているといえる。

同レポートによると、2015~2019年の期間のeコマース市場の年平均成長率は、リラベースで35%増、ドルベースでも13%増となった。同期間をカテゴリー別にみると、「オンライン販売のみ」の年平均成長率はリラベースで38%増(ドルベースで15%増)と、最も成長したカテゴリーになった(添付資料表2、3参照)。

小売りセクター全体の市場規模におけるeコマース市場の割合は、2018年の5.3%から2019年に6.2%に上昇した。これは日本(9.1%)、ブラジル(7.6%)、ロシア(7.2%)の割合を下回っているが、インド(4.7%)やスペイン(5.4%)を上回る数字となっている。

トルコのeコマースでは、いわゆる雑貨全般を扱うヘプィスブラダ(Hepsiburada)、N11、ギッティギディヨル(Gittigidiyor)や、衣料品を主に扱うトレンドヨル(Trendyol)、出前の配達を行うイェメックセペティ(Yemeksepeti)が有名だ。2018年には、中国のアリババ(Alibaba)がトレンドヨルに36億リラを投資し、主要株主となるなど、海外からの投資も活発になっている。ブラックフライデーをはじめとする金曜日に行われるセールは空前の盛り上がりをみせており、2019年11月29日のブラックフライデーは、オンラインでの買い物のカード決済額が前年比44%増となった。

また、新型コロナウイルスの影響を受け、さまざまなスーパーマーケットがオンラインショッピングによる配達サービスを開始した。トルコ国内でオンラインショッピングに初めて利用されたカードの枚数は2020年3月に300万枚となり、オンラインショッピングが普及している傾向がみられる。この結果、現地最大手のヘプィスブラダは、2020年末までに新たに5,000人を雇用すると発表。大手スーパーマーケットのミグロス(Migros)もオンライン販売の拡充のため、コロナウイルス発生後に5,000人以上を雇用し、さらに1,000人を雇用する計画があると4月に報道されていた。

(エライ・バシュ、ネスリン・イシジャン・アルスラン)

(トルコ)

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