新型コロナでオフィス賃料も値下げ、住宅の懸念は供給減

(ベトナム)

ホーチミン発

2020年05月25日

ホーチミン市では、新型コロナウイルスの影響を受け、店舗物件に空きが出ており、賃料が下落している(2020年5月18日記事参照)が、オフィスや住宅の賃料、販売価格にも変化が生じている。日系不動産会社3社へのヒアリング結果を報告する。

オフィス賃料は値下げ、長期的に下落の可能性も

A社へのヒアリング(実施日4月29日)によると、「オフィスビルは新型コロナウイルスの影響が拡大する前は、市内1区中心部のハイクラス(グレードA)だけでなくミドルクラス(グレードB)でも、更新時に強気で値上げする傾向にあった」という。しかし「現在は物件に少しずつ空きが出てきている」という。

また、B社へのヒアリング(実施日5月6日)によると、「新型コロナウイルスの影響により、1~3カ月間など一時的な値引きが行われている」という。「オフィスビル全体の賃料を値引きする」「入居企業が大きな損害を受けた産業かどうか考慮して値引きする」など家主により方法は異なるが、賃料は下落しているという。

また、賃料の見通しについては、「今後も退去する会社が増え、緩やかに賃料が下がる」(A社)と長期的に下落を予想する声もあがった。

住宅価格は上昇傾向、コロナの影響による供給減少ならさらに上昇の可能性も

C社へのヒアリングによると(実施日5月6日)、市内のコンドミニアムの販売価格は「市の建設許可制限を原因とする供給減の影響もあり、価格は今後も継続して上昇傾向と予想している」とした。また、新型コロナウイルスの影響が長期化した場合、「建設スケジュール遅延やプロジェクトの延期などが発生し、供給数の大幅な減少でさらに上昇する可能性もある」という。

実際にベトナム建設省の統計によると、2020年第1四半期のホーチミン市内コンドミニアムの販売価格は、前年同期比3.5%上昇している。

住宅の賃貸物件では、「2020年3月以降、短期出張者や旅行者も宿泊するサービスアパートは空きが多く出ており、長期契約には10%以上の割引やサービス追加が可能」(A社)という。一方、長期的な傾向としては、「サービスアパートは供給数が限られており、稼働率もよく、値上がりが予想される」(B社)という見方もある。

(小林亜紀)

(ベトナム)

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