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米トランプ政権、対中政策の実施状況を報告、長期的な敵対関係を想定

(米国、中国)

ニューヨーク発

2020年05月29日

米国のトランプ政権は5月20日、「中国に対する米国の戦略的アプローチ」と題する報告書PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を発表した。同報告書は2019年国防授権法に基づき、議会への提出が義務付けられているもので、政権発足後の対中戦略の実施状況について政権と行政府が取りまとめた。中国がもたらす経済や安全保障の課題に対し、米国側の懸念や対応を総括している。

今回の報告書では中国経済を対中政策の筆頭課題に挙げた。中国は2001年のWTO加盟に際し、市場志向型政策を採用することを約束したが、競争原理を取り込まず、WTOを利用して世界最大の輸出国になったと批判している。知的財産についても、中国が国際合意をほごにした結果、世界の模造品の63%が中国由来となっており、世界中のビジネスに多大な損害を与えていると指摘した。「一帯一路」政策に関しても、質が低い上に汚職や環境汚染、プロジェクト実施国の統治・財政に支障があると批判している。

これら課題に対する米国政権の取り組みとして、司法省や連邦捜査局(FBI)主導の下、米企業秘密の盗用やハッキング、経済スパイ活動の追及に注力するとともに、「外国投資リスク審査現代化法(FIRRMA)」によって外国投資委員会(CFIUS)の体制を強化し、中国企業が米企業への少額投資を通じて米国の革新的技術などを入手し中国人民解放軍の現代化に利用するのを阻止していることや、先端技術の流出を阻止するための輸出管理の強化、国土安全保障省や税関国境保護局による模造品押収などを紹介した。輸出管理については、直近では商務省が中国の大手IT企業などを輸出管理の規制対象に加えた(2020年5月27日記事参照)。

さらに、2月に発効した米中経済・貿易協定に基づき(2020年1月16日記事2020年2月21日記事参照)、強制技術移転要求の禁止や知財ルールの執行強化、2,000億ドル以上の米製品・サービス購入を中国に合意させるなど、貿易投資関係の課題解消に努めているとした。通商代表部(USTR)と農務省は5月21日、同協定の達成に向けて、ブルーベリーやアボカドなどの農産品の対中輸出解禁や、中国への輸出が許可された米国の食品加工施設の増加などの進捗を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしている。

このほか、中国の国有企業や産業補助金について、日米欧3極による規律強化を目指すなど、経済と安全保障の両面での同盟国との連携も強調している。報告書の結論では、米中関係を異なるシステム間での長期的な戦略競争と捉え、利害が一致する範囲で協調しつつも、これまで合意したことを履行するよう中国に求めた。他方、今回の報告書発表時のホワイトハウスの声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでは、新型コロナウイルスへの中国の対応について、「中国共産党の本質とそれが米国の経済的な利益や安全保障、価値観に脅威をもたらしている事実を今まで以上に知る根拠となる」と述べ、対立姿勢を鮮明にしている。

(藪恭兵)

(米国、中国)

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