WHO、アフリカの新型コロナ感染が最大4,400万人に上ると予測

(南アフリカ共和国、アフリカ)

ヨハネスブルク発

2020年05月18日

世界保健機関(WHO)アフリカ地域事務所は5月7日、アフリカでの新型コロナウイルス感染拡大の予測結果外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。アフリカの国々が感染抑制に失敗した場合、WHOがアフリカと定義する47カ国、総人口約10億人のうち、今後1年以内に2,900万~4,400万人が感染し、8万3,000~19万人が死亡する可能性があるとしている。WHOの5月10日時点の発表によると、アフリカの感染者数の累計は4万2,626人と、世界全体の391万7,366人の1.1%にすぎないが、WHOは今後アフリカでも感染が拡大していくことを見込み、注意を促しているかたちだ。

また、感染拡大は向こう2~3年にわたり継続する可能性があり、適切な対策手段が取られない場合、アフリカの小国のほか、アルジェリアや南アフリカ共和国、カメルーンといった国々が高リスクとの見方を示した。また、マシディソ・モエティWHOアフリカ地域事務局長は「アフリカでは他地域に見られたように急激に感染が拡大することはないだろうが、感染の『ホットスポット』と呼ばれる場所で発生する可能性がある」とし、検査と追跡、隔離、処置が必要だと述べた。WHOの試算では360万~550万人が今後入院が必要となるとしており、各国の医療の受け入れ態勢やキャパシティー不足を懸念している。

WHOの定義によるアフリカ47カ国中、5月10日時点で最も感染者数が多いのは南アで9,420人(前日比525人増、死者186人)。アルジェリア(5,558人)、ガーナ(4,263人)、ナイジェリア(4,151人)と続く。5月1日には島国コモロで初の感染者が確認され、47カ国中、5月11日時点で感染の確認が報告されていない国は南アに囲まれた内陸国のレソトのみとなった。感染拡大抑制のためロックダウンや国境の封鎖を行っている国も多いが、南アのように感染拡大はなお続くものの、経済に与える影響を考慮し、段階的に経済を再開していく動きも始まっている(2020年5月1日記事参照)。

(高橋史)

(南アフリカ共和国、アフリカ)

ビジネス短信 1e002d7dde47ecb1