メルコスールからのFTA交渉離脱を撤回

(アルゼンチン、メルコスール、ブラジル、パラグアイ、ウルグアイ)

ブエノスアイレス発

2020年05月07日

フェリペ・ソラ外相は、4月29日に開かれた上院外交委員会の場で「アルゼンチンは同国が加盟するメルコスールのFTA協議から離脱しない」と発言した。4月24日には、アルゼンチンはメルコスールが現在交渉中のFTA協議から離脱することを発表していたが(2020年4月30日記事参照)、わずか数日でその発言を撤回することとなった。

アルゼンチン外務省のプレスリリース(086/20号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)によると、上院外交委員会に出席したソラ外相は、メルコスール脱退の意向がないこと、そしていかなる交渉の場からも離脱しないことを表明した。

24日に離脱を発表した経緯について同相は、これまでのメルコスール内での協議を通じて、2020年内の政治合意を目指す韓国とのFTA交渉が加速化しており、メルコスール内で調和が崩れるような状況に直面していると指摘した。そして、アルゼンチンは急いで署名する状況にはないことを表明した、と釈明した。また同相は「FTA交渉は自国の雇用と産業が守られることが前提」との認識を強調した。

4月30日に開催されたメルコスール会合に出席したアルゼンチンは、現在の状況下では、加盟国それぞれが共通課題の解決に向かう必要性を強調した。また、韓国とのFTA交渉については、足下の経済情勢をふまえ、国内産業の複数の部門が異議を唱えており、アルゼンチン側としてはこれら生産部門との対話を行う場を設けることを明らかにした。

(紀井寿雄)

(アルゼンチン、メルコスール、ブラジル、パラグアイ、ウルグアイ)

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