EEC政策委員会、工業用水を確保するための渇水対策について承認

(タイ)

バンコク発

2020年04月01日

タイで深刻化する渇水対策として、プラユット首相が議長を務める東部経済回廊(EEC)政策委員会は3月6日、EEC地域で十分な工業用水を確保するため、EEC事務局と国家水資源管理事務局(ONWR)が提案した、2020年の事業計画を承認した。今後、これらの機関は関係機関と連携し、以下の計画を実施する方針。

【給水拡大のための、3つの緊急措置(2020年実施)】

  1. EEC域内のラヨーン県において、サパーン運河からプラセィー貯水池への給水計画。同計画の実施により、1日当たり15万立方メートルの水供給が可能になる見込み。
  2. EEC域内のチョンブリー県において、ルワン運河からバーンプラ貯水池への給水計画。同計画の実施により、1日当たり300万立方メートルの水供給が可能になる見込み。
  3. EEC地域に隣接するチャンタブリー県ワンタノート平野部のプラケート貯水池からラヨーン県のプラセィー貯水池への給水計画。同計画の実施により、1日当たり1,000~3,500万立方メートルの水供給が可能になる見込み。

【給水確保のための、その他の支援措置(2020年実施)】

  1. 2020年1~6月における、既存の水使用量の10%を削減する計画案を作成。
  2. チョンブリー県およびEEC域内のチャチェンサオ県において、民間貯水池からの水調達およびEEC域内の貯水池への給水計画。同計画の実施により、1日当たり1,600万立方メートルの水供給が可能になる見込み。
  3. ラヨーン県において、クローンヤイ貯水池からノーンプラライ貯水池への給水計画。同計画の実施により、1日当たり10万立方メートルの水供給が可能になる見込み。
  4. ラヨーン県において、ナムディン運河の配水パイプライン整備計画。同計画の実施により、1日当たり13万立方メートルの水供給が可能になる見込み。

【中長期的な水資源管理計画(2020~2037年)】

上記のほか、ONWRは、EEC地域における中長期(2020~2037年)の水資源管理計画も以下のとおり作成している。

  1. ラヨーン県において、給水量拡大のため、新貯水池(例:クローンタノート貯水池、クローンプロー貯水池)の建設を含む、38件の総額506億バーツ(約1,670億円、1バーツ=約3.3円)の事業計画。
  2. 農業用水の使用量節減など、12件(19億バーツ)の事業計画。
  3. 地下水網の管理システム開発など、3県(1億8,000万バーツ)の事業計画。
  4. 海水淡水化への企業による投資可能性調査。

EEC事務局の担当者は「今後の水需要拡大のほか、昨今の干ばつにより、EEC域内では、貯水量が大きく減少している地域があり、企業から懸念の声が上がっている」と説明する。今回のEEC委員会での承認は、こうした企業の懸念の声を反映したものとみられる。

(注)本事業を管轄するタイ灌漑局は、既にワンタノート河川管理委員会と覚書を締結(2月4日)。3月1日から、1日当たり43万立方メートルの水の供給を開始している。

(田口裕介)

(タイ)

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