アジア開発銀行、新型コロナウイルスによる世界経済損失は最大4.1兆ドルと発表

(フィリピン)

マニラ発

2020年04月09日

アジア開発銀行(ADB)は4月3日、新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大が与える世界全体の経済損失を最大4兆1,000億ドルと予測し、世界全体のGDPを最大4.8%押し下げるとの試算を発表した。世界全体の経済損失を最大3,470億ドル、GDP比で最大0.4%と予測した3月6日付の発表(2020年3月18日記事参照)から1カ月あまりで大きく下方修正した。

ADBは大幅な下方修正の理由について、世界各国が出入国規制や都市封鎖(ロックダウン)といった新型コロナウイルスの徹底的な封じ込め政策を採用することによって世界経済に大きな影響が生じているとした。ただし、試算にあたって感染拡大による海外送金の途絶や緊急医療コストなどの要素は考慮していないとした。

ADBは、影響を各国・地域別に試算した結果、米国は最大1兆1,502億ドル(GDP比5.6%)の経済損失になると試算した。そのほか、ドイツ(2,236億ドル、同5.7%)、英国(1,722億ドル、同6.0%)、タイ(234億ドル、同4.6%)、インドネシア(99億ドル、同1.0%)、シンガポール(95億ドル、同2.6%)、ベトナム(72億ドル、同2.9%)、インド(136億ドル、同0.5%)、などと試算した。日本については最大2,708億ドルの経済損失(GDP比5.5%)のGDP押し下げになるとした。

フィリピンの経済損失は最大54億ドル、GDP比1.6%押し下げ

ADBは、フィリピンの経済損失は最大54億ドル(GDP比1.6%)と試算した。業種別に押し下げ率をみると、特にホテル業やレストラン業など個人サービス関連業が最大9.63%、運輸業は最大3.42%とされ、影響が大きいとしている。一方で、製造業・公益事業・建設業は1.42%および農業・鉱業は1.60%、商業・貿易は0.98%と比較的影響が小さいとされた。

フィリピン国家経済開発庁(NEDA)は4月3日、新型コロナウイルス対応計画PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を発表し、新型コロナウイルスの国内感染拡大により家計支出の低迷、失業率の増加といった国内経済への影響は既に発生しているとしながらも、5.5~6.5%とした従来の2020年の経済成長予測を据え置いた。

(坂田和仁)

(フィリピン)

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