新型コロナウイルスによる世界経済の損失は最大3,470億ドル、GDP0.4%幅押し下げ、アジア開発銀行

(世界、フィリピン)

マニラ発

2020年03月18日

アジア開発銀行(ADB)は3月6日、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大が与える世界全体の経済損失を最大3,470億ドルと予測し、世界全体のGDPを最大0.4%幅押し下げるとの試算を発表した(表参照)。

表 異なるシナリオの下での新型コロナウイルスによる世界的・地域的影響(推計)

ADBは、渡航制限や行動の自粛が3月下旬に収束する「最も緩やかなケース」では、世界経済の損失は767億ドル、世界経済のGDP押し下げ幅は0.09%にとどまるが、4月下旬に収束する「中間的ケース」の場合は、損失は1,560億ドル、GDP押し下げ幅は0.18%となり、7月下旬まで続く「より深刻なケース」の場合は、損失は3,470億ドル、GDP押し下げ幅は0.4%に達するとした。

ADBは、影響を各国・地域別に試算した結果、中国は439億~2,368億ドルの経済損失、0.32~1.74%のGDP押し下げ幅になると試算した。そのほか、韓国(13億~50億ドル、0.08~0.31%幅)、香港(23億~53億ドル、0.64~1.45%幅)、台湾(19億~54億ドル、0.30~0.89%幅)、タイ(38億~109億ドル、0.75~2.17%幅)、ベトナム(7億~19億ドル、0.28~0.78%幅)、インド(4億~12億ドル、0.01~0.04%幅)などと試算した。

フィリピンの経済損失は最大19億ドル、GDP0.6%幅押し下げ

ADBは、フィリピンの経済損失は7億~19億ドル、GDP押し下げ幅は0.20~0.59%と試算した。業種別GDPの押し下げ幅をみると、特にホテル業やレストラン業など個人サービス関連業が最大4.33%、運輸業は最大3.50%とされ、影響が大きいとしている。一方で、製造業・公益事業・建設業および農業・鉱業は0.35%、商業・貿易は0.27%と比較的影響が小さいとされた。

フィリピン国家経済開発庁(NEDA)のアーネスト・ペルニア長官は、新型コロナウイルスの影響が6月まで続けばGDPの押し下げ幅は0.3%、12月まで続けば1.0%とする見通しを示し、特に影響が大きいセクターとして国内観光業を挙げた。

(坂田和仁)

(世界、フィリピン)

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