欧州中銀が担保条件を再緩和、格下げ後の債券も担保として継続容認

(EU、ユーロ圏)

デュッセルドルフ発

2020年04月24日

欧州中央銀行(ECB)は4月22日、緊急政策理事会を開催し、ユーロ圏の銀行がECBから資金供給を受ける際の担保条件を再緩和すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。新型コロナウイルス感染拡大を起因とする経済危機により、今後債券の格下げがあった場合でも、4月7日時点で最低要件を満たす債券は引き続き担保として認める。ECBは同措置について、4月7日に発表した担保条件の緩和措置(2020年4月10日付記事参照)を補完するものとしている。

一部報道では、新型コロナウイルスの封じ込めのために経済活動が大きく停滞するイタリアやスペインの国債が格下げされた場合の混乱を防ぐ狙いとする見方も出ている。

ECBでは、担保資産の最低要件について、通常の債券についてはBBB-、資産担保証券(Asset Backed Securities:ABS)については、A-を適用している。今回の緩和措置により、4月7日時点で上記の最低要件を満たし、さらに通常の債券についてはBB以上、ABSについてはBB+にとどまる限り、引き続き担保として受け入れる。2021年9月までの時限措置で、対象となる債券には適切なヘアカット(注)を適用する。

ECBは声明の中で、債券格下げによる影響に対し、必要に応じて追加の措置を講じる可能性があるとしており、ユーロ圏内における政策の波及効果を引き続き検証していく方針を示している。なお、4月30日には定例の政策理事会の開催が予定されており、議論の動向も注目される。

(注)担保を評価する際に差し引く一定割合のこと。担保として差し出された債券の額面や株式の時価評価額などに対して設定され、通常、格付けの低い債券ほどヘアカットは大きくなる。

(ベアナデット・マイヤー、森悠介)

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