欧州中銀、担保条件の緩和措置を発表

(ドイツ、EU、ユーロ圏)

デュッセルドルフ発

2020年04月10日

欧州中央銀行(ECB)は4月7日、緊急政策理事会を開催し、ユーロ圏に関するさらなる金融緩和策を採択したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。ユーロ圏の銀行がECBから資金供給を受ける際の担保資産要件を一時的に緩和し、幅広い資産を担保として受入可能とする前例のない措置を導入する。今回の担保資産要件については、貸し出し条件付き長期資金供給オペレーション(TLTRO-III:Targeted longer-term refinancing operations)をはじめとした流動性供給オペレーションに適用される。

ECBは今回の措置について、「特に担保条件の緩和により銀行融資の提供を支援する」としている。具体的には、銀行が持つ資産のうち、信用力が低い事業者などに提供した融資や政府保証融資の債権、格付けが投資不適格級となっているギリシャ国債なども担保として認定する。また、無担保債権の受入枠も現行の2.5%から10%まで拡大する。同時に、担保のヘアカット率(注)を引き下げ、一時的にユーロシステムによるリスク許容度を拡大する。

ECBは今回の担保資産要件の緩和措置について、追加的な長期資金供給オペレーション(LTROs:longer-term refinancing operations)やパンデミック緊急購入プログラム(Pandemic Emergency Purchase Programme:PEPP)など、新型コロナウイルスの感染拡大による危機に対し、ECBがこれまで発表している各プログラムを補完するものと位置付け(2020年3月13日2020年3月19日記事参照)、新型コロナウイルス感染拡大による危機が続く限り実施する。PEPPの実施期間と関連付けて検討するとし、更なる延長の必要性について2020年末までに再評価するとしている。一方、市場性のない資産に適用されるヘアカット率の微調整については、PEPPの実施期間と関係なく、継続的に実施するとしている。

(注)担保を評価する際に差し引く一定割合のこと。担保として差し出された債券の額面や株式の時価評価額などに対して設定され、通常、格付けの低い債券ほどヘアカットは大きくなる。

(ベアナデット・マイヤー、森悠介)

(ドイツ、EU、ユーロ圏)

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