ロックダウン開始後、大統領が初の国民演説を実施

(南アフリカ共和国)

ヨハネスブルク発

2020年04月03日

南アフリカ共和国のシリル・ラマポーザ大統領は3月30日、国民演説外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを行った。同月26日深夜にナショナル・ロックダウン(4月16日まで21日間の外出禁止、2020年3月27日記事参照)が開始されて以降、初めてとなる。

大統領は国内の新型コロナウイルス感染者が同日時点で1,300人を超えたことに触れ、引き続き食品などの生活必需品や医療品・サービスの購入以外の外出を控え、残り17日間も自宅に待機するよう国民に呼びかけた。その上で、今後政府は感染拡大防止に向けて、1万人体制で各家庭を訪問し、スクリーニング・検査・症状確認などを行うと発表した。また、大統領は3月27日に米国大手格付け会社ムーディーズが南アの長期債務を「投資不適格級」に格下げ(2020年4月3日記事参照)したことは南ア経済に負の影響をもたらすものの、政府は新型コロナウイルスへの対応の手を緩めないと述べた。なお、南アのモツェペ財団と南アのメディア大手ナスパーズから合わせて25億ランド(約148億円、1ランド=約5.9円)の支援のほか、中国の電子商取引(EC)最大手アリババ集団の創設者ジャック・マー氏が南ア含むアフリカ各国に医療品を供給していることに対し感謝の意を示した。

南ア政府はナショナル・ロックダウン開始と同時に、出発地にかかわらず全ての国際・国内旅客便の運航を禁止しているが、運輸省は3月31日、南ア国内にとどまっている外国人は自国がチャーター便を用意する場合に限り出国を認めると発表した。さらに、国外に在留し帰国を希望する南ア人に対しても、全額支払い済みの航空券を有していることなどを条件に帰国を認めるとした。また、ナショナル・ロックダウン開始以降、国民の外出禁止を徹底させるべく警察のほかに国軍が国内に配備されているが、こうした治安当局と国民との間のいさかいも度々報じられ(「タイムズライブ」3月31日)、今後の緊張の高まりにも注意が必要だ。なお、日本の外務省は3月31日、南アを含むアフリカに滞在および渡航中の邦人に対して、感染拡大に伴う現地情勢の悪化への懸念から可及的速やかな帰国の検討を促している(外務省海外安全ホームページ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

(高橋史)

(南アフリカ共和国)

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