短時間操業の申請が殺到、短時間労働者の追加収入に緩和措置

(ドイツ)

ベルリン発

2020年04月06日

連邦雇用庁は3月31日、3月27日までに短時間操業の申請数が約47万件に上ったと発表。背景として、新型コロナウイルス感染拡大危機の経済対策パッケージ(2020年3月13日記事参照)で発表された短時間労働給付金制度を利用するため、企業は短時間操業の申請を行う必要があることにある。全国のほぼ全ての産業分野から申請があり、特にホテル・外食産業からの申請が多い。なお、2019年の月平均の申請は約1,300件で、2020年2月は1,900件となっていた。

連邦雇用庁は急増する申請件数に迅速に対応するため、組織改編を行い、短時間労働申請対応チームをこれまでの800人弱から約4,500人に増強、電話による問い合わせ対応要員を4,000人から1万8,000人に増員した。事業者にはオンラインでも安全かつすばやく申請が可能となったと呼びかけている。

報道(「フランクフルター・アルゲマイネ」紙電子版3月31日など)によると、BMWやフォルクスワーゲン(自動車)、ルフトハンザ(航空)、ジャーマンナーバルヤード(造船)、フンケ(メディア)など大企業も次々と短時間操業を導入している。

さらに連邦雇用庁は4月2日、短時間労働給付金の受給者が、4月10日から10月31日にかけて、医療や日常必需品にかかわる重要産業で臨時に得た収入については、本来の雇用からの収入、短時間労働給付金との合計が通常の収入額を超えない範囲であれば賃金とみなさない緩和措置を発表した。対象となるのは連邦情報セキュリティ庁法に定められた重要インフラ分野および専門職で、医療、病院や介護施設への食品供給、生命維持に直結する医療品・機器供給、薬局、貨物輸送(例:卸売および小売業への食品流通)、食品販売、食品生産(含む農業)、および食品流通のための配送サービスなどが含まれる。

これにより、短時間勤務となった従業員が余剰時間を食品流通などの基盤サービス分野に従事することで人手不足の業界に労働力を振り向けることが可能になる。

(中村容子)

(ドイツ)

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