チェコ議会、新たな経済対策を可決、企業は支援拡大を期待

(チェコ)

プラハ発

2020年04月27日

チェコ上院は4月17日、新型コロナウイルス関連の新たな経済対策を可決した。

うち1つは、チェコ輸出保証保険機構(EGAP)の融資保証プログラムだ。既に中小企業や個人事業者を対象とする無利子融資プログラムを導入しているが(2020年3月13日記事参照)、今回の対象は従業員数250人以上の大企業のみを対象としたものとなっている。

このほか、新型コロナウイルスの影響で一時的にローン返済が困難となった企業、個人を救済するため、3カ月あるいは6カ月のローン返済の猶予期間を与えることを定めた法律も可決された。債務者は、3月26日以前に締結したローンに関して、その状況により返済繰り越し期限を7月31日あるいは10月31日のいずれかを選択できる。

新たに決定した上記を含み、現在までチェコ政府が施行済み、あるいは施行を決定している新型コロナウイルスに関連する経済措置は添付資料のとおり(4月20日時点)。

ただし、企業はこれらの対策に必ずしも満足しているわけではなく、支援拡大を望む声もある。チェコ産業連盟が4月2、3日に国内製造業を中心とする148社を対象に実施した調査の結果、回答者の72%が新型コロナウイルス関連の経済対策は不十分と考えていることが明らかになった。

この調査の中で、4、5月の受注減少の予測に関しては、前年同期比での受注減20%超を予想している企業数は43.5%に達している。また3、4月の生産量については、約3分の1が20%以上の生産減または計画を報告している(添付資料の図1、2参照)。

雇用関係では、46.6%が従業員の解雇は実施あるいは計画していないと回答しており、76%が政府の賃金補助プログラム(2020年4月2日記事参照)の利用を検討していることがわかった。

同連盟のヤロスラフ・ハナーク会長はこの状況に関して「企業は、特に熟練工など質の高い労働者を今解雇すれば、新型コロナウイルス終息後に再び獲得するのが困難になると理解している」と説明する一方で、「多くの企業が現在のところ雇用を維持しているが、受注が減少する現状では、この状況は長く続かない。政府の支援は、申請してから数日中に対象企業に供給される必要がある。また、賃金補助制度は最低6カ月機能することが必要とされる」と指摘している。賃金補助プログラムは、現在のところ4月のみに実施期間が限られているが、労働・社会福祉省は5月までの延長を検討している。

賃金補助プログラムの延長は、チェコ自動車工業会も要望しており、2020年第3四半期(7~9月)までは少なくとも持続することが望ましいとしている。同工業会は同時に、上述の大企業向けの融資保証プログラムの早急な施行も求めている。

(中川圭子)

(チェコ)

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