非常事態宣言を5月14日まで延長、食品輸出禁止措置は1週間で撤回

(ルーマニア)

ブカレスト発

2020年04月22日

クラウス・ヨハニス大統領は4月14日、非常事態宣言をさらに30日間延長し、5月14日までとする大統領令を発表した。

4月16日時点での国内の感染者数は累計7,707人、死亡者は387人。これまでに外出制限やフライトの大幅な就航停止などの対策(2020年3月27日記事2020年4月9日記事参照)を講じているが、依然として感染スピードが緩和されていないため、延長が決定された。今回の大統領令では、非常事態宣言下の経済、社会保障、公衆衛生、治安維持など90を超える項目にわたって、各分野における今後の対策指針が示された。また、これを受けて現在までに発令された軍事令による各種措置(学校の休校、集会やイベントの禁止、一部フライトの就航停止、外出制限など)は継続されることとなった。

議会は4月16日、この大統領令を承認したが、発効に当たっては議席の半数近くを占める野党・社会民主党(PSD)が提示した要望を含めた形での条件付き採択となった。具体的にはたとえば、(1)政府は新型コロナウイルスの感染予防対策について週次報告書を議会へ提出する義務を負う、(2)非常事態宣言が解除されてから60日以内に、会計裁判所による公共調達の費用検証を受ける、などが盛り込まれた。

なお、この大統領令発効の同日、第9号軍事令が新たに発令されている。本軍事令では、第8号軍事令(4月9日発令)に定められた「穀物や砂糖、油など一部食品の輸出禁止」措置が1週間で撤回されるなど、朝令暮改の政府対応が国内経済の混乱を助長している。

(ミンドル・ユニアナ、森あゆみ)

(ルーマニア)

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