1~3月の直接投資は停滞、投資の遅延や中止に懸念も

(ベトナム)

ハノイ発

2020年04月17日

ベトナム外国投資庁によると、2020年第1四半期(1~3月)の対内直接投資(認可ベース、3月20日時点の速報値、出資・株式取得を除く)は、新規・拡張の合計で994件(前年同期比6.6%減)となった。認可額は65億9,654万ドル(28.8%増)だったものの、シンガポール出資による南部バクリュウ省の液化天然ガス(LNG)発電所プロジェクト(40億ドル)を除くと、前年同期を大幅に下回る。新型コロナウイルスの影響で、今後さらなる投資認可の遅延や中止が懸念される。

業種別では、小売り・卸売りが269件(12.1%増)、2億4,093万ドル(94.2%増)と、堅調に伸びた(添付資料の表1参照)。一方、小売り・卸売りや発電所案件が含まれるライフラインを除けば、製造業をはじめ、全体的に認可額は低調だった。

国・地域別では、上述の発電所案件が含まれるシンガポール以外は、件数・認可額ともに低調だった(添付資料の表2参照)。中国は南部タイニン省における山東金宇タイヤ(SHANDONG JINYU TIRE)出資のトラック・バス用タイヤ工場の新規投資(3億ドル)、同省での別のタイヤ工場の拡張投資(1億3,800 万ドル)が牽引したが、141件(14.5%減)、6億3,808万ドル(20.3%減)と、件数・認可額ともに減少した。韓国は283件(11.3%減)、4億1,037万ドル(56.1%減)と、件数では2位の中国の2倍だが、認可額は大幅に減少した。

日本の件数は119件(23.2%減)で韓国、中国に続く3位、認可額は3億381万ドル(49.6%減)で5位となった。拡張投資の認可額は首位となったものの、新規投資では大型案件がなく、前年を下回った。

4月以降の投資は新型コロナウイルスの影響でさらに停滞の恐れ

ベトナム政府は3月22日から全ての外国人の入国を停止するなど、人の移動を制限している(2020年3月24日記事参照)。そのため、計画投資省によると、外国人投資家が出張できず、投資決定の遅延や見直しになる事例が起きているという。また、世界的な消費市場の停滞を受け、財政状況が悪化する企業も多く、今後の投資方針に影響が出ると推察される。

(庄浩充)

(ベトナム)

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