マラウイ、ロックダウン開始を1週間延期、7月の大統領選挙の準備にも影響

(マラウイ、南アフリカ共和国)

ヨハネスブルク発

2020年04月27日

マラウイ高等裁判所は4月17日、同国の人権団体「人権擁護者連盟(HRDC)」が求めていた、ロックダウン(外出禁止)開始の1週間延期を認める判決を下した。マラウイのピーター・ムタリカ大統領は4月14日、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐことで5万人の人命を守ることができるとし、4月18日から21日間のロックダウンを行うと発表していた。これに対しHRDCは、ロックダウン期間中の食料の確保など、国民のロックダウンへの備えが十分ではないとして同裁判所に提訴していた(「マラウイ24」4月16日)。

1人当たり国民総所得が360ドル(世界銀行、2018年)の後発開発途上国(LDC)のマラウイは、国民の大半がインフォーマルセクターに属し、その多くが日銭で生活していると言われている。急激にロックダウンが開始され、経済活動の停止を余儀なくされれば、3週間の生活を乗り切ることができないとし、国内主要都市では2日間にわたる抗議活動も行われていた(「クオーツ・アフリカ」4月18日)。

世界保健機関(WHO)の発表によると、4月22日時点で同国の新型コロナウイルス感染確認者数は18人、死者2人と急激な感染拡大には至っていないが、国内の政治にも影響を及ぼしている。マラウイ選挙管理委員会(MEC)は4月15日、大統領によるロックダウン実施の発表を受け、今年7月2日に予定されている大統領選再選挙にかかる全ての準備を一時中断すると発表した(「ザ・タイムス・グループ」4月16日)。それまで、国内では選挙人登録の作業が進められていた。7月2日の再選挙が延期になるか現時点では明確になっていない。

マラウイでは、2019年5月に実施された大統領選(2019年5月31日記事参照)に勝利した現職ムタリカ大統領率いる与党民主進歩党(DPP)が選挙を不正操作したとして、結果公表直後に野党が再選挙を求め強く抗議。今年2月に憲法裁判所が前回2019年選挙を無効とし、7月2日までの再選挙の実施を勧告していた(「アルジャジーラ」3月23日)。

(高橋史)

(マラウイ、南アフリカ共和国)

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