大統領選挙で現職が再選

(マラウイ)

ヨハネスブルク発

2019年05月31日

マラウイ選挙管理委員会(MEC)は5月27日、大統領選挙(5月21日実施)の開票結果を発表した。現職で与党民主進歩党(DPP)党首のピーター・ムタリカ氏が得票率38.57%で勝利し、2期目を務めることになる。

第1野党マラウイ会議党(MCP)の党首ラツルス・チャクウェラ氏の得票率は35.41%で、2014年の前回選挙と同様に僅差でムタリカ氏に敗れた(2014年6月18日記事参照)。MCPは投票に不正操作があったとして高等裁判所に提訴していたが、同裁判所は27日に差し止めを解除し、同日のMECによる結果発表になった。ムタリカ氏は28日に行われた就任式で、国民に結束と発展を呼びかけ、野党にも選挙結果の受け入れを要請した。しかし、現地の報道によると、ドーワ地区で野党支持者による暴動が発生し、15人が逮捕された。在マラウイ米国大使館は在住米国人に対し、外出を極力控えるように注意喚起しており、動向を注視する必要がある。

ムタリカ氏は前回選挙で当時の与党人民党(PP)を率いたジョイス・バンダ前大統領を破って当選した。ムタリカ氏は現在78歳で、任期は実質的に次回総選挙までの5年間となる。同氏は2004年から2012年まで第3代大統領を務めたビング・ワ・ムタリカ氏の弟で、米イエール大学で法学博士号を取得した。報道によると、ムタリカ氏は1期目の就任後、インフラ整備の強化やインフレ抑制などに取り組んだ(ロイター)。一方で、汚職問題なども取り沙汰されており、現政権に対する国民の不満も高まっていたが、辛くも再選を果たした。

南部アフリカの内陸国マラウイは旧英国植民地で、人口約1,900万、1人当たり所得が約320ドルの後発開発途上国(LDC)(世界銀行、2018年)だ。主要産業は農業で、タバコ、紅茶、砂糖などの一次農産品輸出に依存しており、ムタリカ氏には経済構造の変革が求められる。

(高橋史)

(マラウイ)

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