在米日系企業の過半数が在宅勤務義務に、州政府などの自宅待機令で

(米国)

ニューヨーク発

2020年04月13日

米国内での新型コロナウイルスの急速な感染拡大に伴い、自宅待機令対象地域が広がるなど、企業の事業環境は急速に変化している。ジェトロは在米日系企業を対象に、駐在員の一時帰国、在宅勤務、生産・販売の状況などについて、アンケート調査を3月に引き続き実施した。アンケートは4月6~8日にかけて行い、1,048社から回答を得た。結果概要は以下のとおり。

7割の企業が一時帰国を実施せず

日本の外務省は3月31日に米国全土を対象に、感染症危険情報を、渡航中止を勧告する「レベル3」に引き上げたが、回答企業の過半数が「一時帰国の予定なし」、2割弱が「希望者を募るが希望者なし」と回答し、7割の企業が一時帰国を実施していない。一時帰国しない理由は「移動することによる感染リスクへの不安」「帰国後の事情」「業務上の都合」などが挙がった。駐在員の家族の一時帰国も「予定なし」が3割を超え、「希望者を募るが希望者なし」も3割近くに上り、約6割の企業の駐在員の家族が米国内にとどまっていることが分かった。

自宅待機令で過半数が在宅勤務義務に

在宅勤務の導入状況を聞いたところ、過半数の企業が州政府などの自宅待機令により在宅勤務が義務付けられている。特に感染が深刻なニューヨーク州を含む北東部では、その割合は約7割に上る。在宅勤務に伴う懸念として、半数以上の企業が「営業活動の制約」「社員間のコミュニケーション不足等による生産性低下」を表明している。

州内全域を対象に自宅待機令を発令している州は4月9日時点で42州に上る。ただし、例外として「必要不可欠な事業」(Essential Business)は、職場での事業の継続が認められている。必要不可欠な事業に該当し、職場での事業を継続している企業は43.5%に上った。特に、製造業ではその割合は過半数(52.9%)に達した。

過半数が過去1カ月で売り上げ減少

過去1カ月に売上が減少した企業の割合は5割を超えた。売り上げが減少した企業で、前年同月比で20%以上減少した企業は約3分の2に上り、中でも50%以上減少となった企業は2割を超える。生産状況については、生産を中断または通常未満の生産をしている企業は約7割に達し、前回調査(54.2%)から大きく増加した(注)。主な要因として、約4分の3の企業が「国内需要の減少(取引先の減産を含む)」を挙げた。これに「労働者の不足(自宅待機等)」「自宅待機令による工場停止」が続く。

アンケート結果の全文は「第2回在米日系企業の新型コロナウイルス対策に関わる緊急・クイックアンケート調査結果PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」から閲覧できる。

(注)前回調査は3月24~26日に実施(2020年3月30日記事参照)

(若松勇)

(米国)

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