新型コロナウイルスの影響で在米日系企業の7割が売上減
(米国)
ニューヨーク発
2020年03月30日
新型コロナウイルスの感染防止のため、米国内で自宅待機令の対象地域が次々と広がる結果、企業活動に著しい影響が及んでいる。ジェトロは米国内の日系企業を対象に、在宅勤務による業務遂行への支障、感染拡大による生産や販売への影響などについて、緊急アンケートを実施した。アンケートは米国現地時間3月24~26日に実施し、在米日系企業905社から回答を得た。アンケート結果の概要は以下のとおり。
労務関係:回答企業の9割が在宅勤務を実施
回答企業(905社)の9割超が在宅勤務を実施している。在宅勤務を実施している企業のうち、1割に業務遂行上「大きな」支障が出ており、これを含め、8割超で「何らかの」支障が出ている。具体的には、社内外との意思疎通、製造や倉庫などの現場作業、経理処理などで、生産性の低下を指摘する声もあった。
工場や倉庫勤務の従業員など在宅勤務にそぐわない社員を抱える企業のうち、自宅待機にもかかわらず給与を全額支給している企業が半数近く(46.5%)いて、大きな負担となっている。駐在員とその家族の一時帰国については現時点で約3分の2の63.8%が予定しておらず、検討中の企業は13.9%だった(注)。
生産・販売状況:7割の企業で売上高が減少
感染拡大により、7割の企業が売上高は「減少」していると回答した。製造業における売上減少の要因は「国内需要減少」(取引先の減産を含む)が69.1%を占め、「自宅待機令による工場停止」(20.8%)がこれに続く。
生産状況については、通常未満の稼働率の企業(生産を中断した企業含む)は5割を上回る。要因として、受注減など需要不足と欠勤者増加による従業員不足などが挙がった。
業務管理や給与保障などが課題に
対処に苦慮する課題としては、「労務」に関するものが多い。具体的には、在宅勤務における業務管理やコミュニケーション、従業員の健康確保、職場の安全確保、衛生意識、給与保障などが挙げられている。労務のほかには「ビザ」や「資金繰り」、公的支援策情報の不足などの課題を訴える声が多い。
アンケート結果の全文は「在米日系企業の新型コロナウイルス対策に関わる緊急・クイックアンケート調査結果」から閲覧できる。
(注)今後、日本の外務省が米国に対する感染症危険情報を、渡航中止を勧告する「レベル3」に引き上げた場合、一時帰国を検討する企業の割合はさらに増えるとみられる。
(若松勇)
(米国)
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