第1四半期の貿易は8.4%減、3月単月では減少幅は縮小

(中国)

北京発

2020年04月17日

海関(税関)総署の4月14日の発表によると、2020年第1四半期の貿易総額は前年同期比8.4%減の9,432億ドルとなった。うち輸出は13.3%減の4,782億ドル、輸入は2.9%減の4,650億ドルで、132億ドルの黒字となった。元建てでは総額が6.4%減、輸出が11.4%減、輸入が0.7%減となった。

税関総署の李魁文報道官は、新型コロナウイルス流行により延期されていた取引が企業の操業再開によって再び戻ったことで、3月単月の輸出は前年同月比6.6%減と1~2月に比べて減少幅が10.6ポイント縮小したとした。また、国内生産や市民生活の回復に伴い、肉類、集積回路などの部品や原材料の輸入が増加したとの見方を示した。このほか、李報道官は、中国が米国との第1段階の経済・貿易協定の履行に取り組んだことで大豆、豚肉、綿花等の輸入が増加したことにも言及した。

対ASEAN貿易は3.9%増、貿易相手として1位に

主要国・地域との貿易総額を見ると、ASEANとの貿易は3.9%増と唯一の増加となり、貿易相手国・地域としてEUを上回って1位となった。輸出では、米国、EU、日本向けが軒並み大幅に減少した(表参照)。李報道官は、対ASEAN貿易の増加について、同地域との集積回路の輸出入が大幅に増加したことなどを要因として挙げた。

表 中国の主要国・地域との貿易額

海外での新型コロナウイルス流行による外需縮小が懸念材料

商務部国際貿易経済合作研究院国際市場研究所の白明副所長は、3月中旬から多くの貿易企業が受注減に見舞われており、今後1~2カ月程度の時間差を経て貿易統計に影響してくると指摘した。また、白氏は、米国や欧州など主要な貿易相手先で新型コロナウイルスの流行が続いていることから、外需が中長期的に制約を受けるとの見通しを示した。

中国国際貿易促進委員会(CCPIT)研究院国際貿易研究部の趙萍主任も、国外受注の減少が最大の課題と指摘した。また、貿易企業の既存契約が多く延期され、新規契約は困難な状況にあり、感染拡大によって各国の需要縮小が止まらないことが、中国の貿易に大きな不確実性をもたらしているとした。

第2四半期の貿易について、白氏は、海外でのウイルス流行拡大に伴う外需減少が大きな下押し圧力となるとしつつ、第3四半期に世界の感染状況が好転した場合には中国の貿易も底打ちする可能性があるとの見通しを示した(「21世紀経済報道」4月15日)。

(小宮昇平)

(中国)

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