不可欠な活動以外の操業停止期限を5月末まで1カ月延長

(メキシコ)

メキシコ発

2020年04月17日

メキシコ政府は4月16日、アンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール(AMLO)大統領の早朝記者会見において、新型コロナウイルスの感染拡大防止策である「健全な距離確保全国キャンペーン(JNSD)」(2020年3月26日4月1日記事参照)の実施期間を5月末まで延長した。同措置は、12人の感染症の専門家グループがメキシコや他国における新型コロナウイルス感染の現在までのデータから統計学的な分析を行い、感染拡大のピークが5月8~10日にくると予測した上で、それに合わせた対策として政府に提案されたものだ。今後、公衆衛生審議会による非常事態宣言の1ヵ月延長および新たな保健省令の官報公布を得て導入されるが、主な内容は以下のとおり。

  1. JNSDの実施期限を当初の4月30日から5月30日に延長
  2. 感染件数がゼロ、または少ない市町村については、5月18日から経済・社会活動を再開
  3. 高齢者、妊婦、生活習慣病患者などCOVID-19に脆弱(ぜいじゃく)な層については、新たな発表があるまでは自宅待機などの規制を継続

2.で再開される活動には、企業活動や学校教育などが含まれる。保健省のデータによると、全国で新型コロナウイルスの感染がなく、隣接する州にも感染がない市町村は979あり(全2,463市町村の39.7%)、これらの市町村が対象となるようだ。しかし、メキシコシ市や各州の州都など都市部では対象となるところが少なく、州内に対象市町村が全くないところもある。AMLO大統領によると、5月18日から活動が再開できる市町村がどこかについては、近日中に正式発表される。

操業停止期間延長が与える経済活動への影響は深刻

5月末までの操業停止が企業経営に与える悪影響は、甚大になることが予想される。AMLO大統領は小規模零細企業への影響を緩和する目的で、当初想定していた100万の零細事業者(フォーマル、インフォーマル)に対する低利融資に加え、社会保険登録がある正規事業所に対する低利融資(金利は企業規模に応じて6.5~10%)を100万件追加すると発表した。ただし、従業員を解雇しておらず、給与も減らしていないことが条件となる。大統領によると、これら低利融資は5月4日から開始されるが、詳細は来週に発表される。

新たな100万件の融資についても融資額は2万5,000ペソ(約11万2,500円、1ペソ=約4.5円)にすぎず、この金額で資金繰りの問題が改善する事業所は家族経営の零細企業などに限られるだろう。日系進出企業にとってはあまり意味のない支援策といえ、法人税や社会保険負担金の減免、あるいは延滞金利なしの繰り延べ、休業中の従業員に対する給与支払いへの補助など、他国が導入している抜本的な企業向け支援策がメキシコでも導入されることが望まれる。

(中畑貴雄)

(メキシコ)

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