新型コロナウイルスに関する偽情報拡散防止に向け特別コミュニケーションセンターを設置

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2020年04月01日

新型コロナウイルスをめぐるデマやフェイクニュース拡散に危機感を募らせるロシア政府は3月30日、新型コロナウイルスに関する誤情報の追跡と反駁に向けた特別コミュニケーションセンターを創設する連邦政府決定を発表した(2020年3月27日付連邦政府決定第358号)。

センターの役割は、a.新型コロナウイルスに関する完全かつ信頼できる情報の収集・提供、b.新型コロナウイルス感染拡大防止対策に関連する法令情報をさまざまなレベルの関係当局に迅速に提供すること、c.社会経済指標、消費材・医療製品の入手可能性、医療検査と保護手段の状況のモニタリング、d.海外の新型コロナウイルス感染拡大状況の分析と予測、他国の経験の活用に関する提案の準備、e.新型コロナウイルスに関する誤情報(人々の生命と健康を脅威にさらし、社会の緊張感を高め、社会経済、政治状況の不安定化をもたらしうるもの)の特定と反駁、f.新型コロナウイルス感染拡大防止に向け、効果が証明されている推奨事項の周知、g.世論のモニタリングなど。センターは3月14日に創設された、連邦政府付属新型コロナウイルス感染拡大対策調整評議会に組み込まれている。

主要経済紙「コメルサント」(3月18日)によると、ロシアでは新型コロナウイルスの感染拡大が始まった1月下旬以降、インターネットやSNSを通じて、誤った情報を含む新型コロナウイルスに関する大量の情報が発信されているようだ。

連邦通信・IT・マスコミ監督局(ロスコムナドゾル)は3月4日、連邦検察庁の要請を受け、ロシアにおける新型コロナウイルスに関するフェイクニュースの拡散を行うリソースへのアクセスを制限すると発表。社会秩序や社会の安全性、小売施設の運営に脅威をもたらし得るインパクトの大きい不確実情報を掲載している、SNS(フェイスブックや、ロシア版フェイスブックと呼ばれる「フコンタクチェ」など)のメッセージリンク一式を検察庁より受け取り、法令にのっとってアクセス制限を講じるとしている。

加えて、ロスコムナドゾルは世界最大の動画共有サービス「ユーチューブ」や、「フコンタクチェ」などをはじめとするインターネットサービスプラットフォームに対して、新型コロナウイルスに関する偽情報を削除するよう要請したようだ(「コメルサント」紙3月31日)。

ロシアでは新型コロナウイルスが感染拡大する以前から偽情報の拡散対策を講じてきた。2019年3月18日にプーチン大統領はフェイクニュースの拡散などを禁止する一連の連邦法に署名(2019年5月8日記事参照)。不確実で事実を歪曲(わいきょく)した情報を拡散した者に対して最大150万ルーブル(約210万円、1ルーブル=約1.4円)の罰金が科される(「コメルサント」紙3月31日)。

(齋藤寛)

(ロシア)

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