新型コロナウイルス感染者数と人口当たり死者数がASEAN最多に

(フィリピン)

マニラ発

2020年04月16日

世界保健機関(WHO)は4月14日、フィリピンの新型コロナウイルス感染者数が4,932人、死者数が315人と発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした〔中央ヨーロッパ時間(CET)4月14日午前10時時点〕。

それによると、フィリピンの感染者数はASEAN10カ国で最多となった。ASEAN諸国の感染者数は、フィリピンに次いでマレーシア(4,817人)が多く、以下、インドネシア(4,557人)、シンガポール(2,918人)、タイ(2,613人)、ベトナム(265人)、ブルネイ(136人)、カンボジア(122人)、ミャンマー(62人)、ラオス(19人)と続いた(出所:WHO)。死者数の絶対数はインドネシアが399人とASEANで最も多いが、人口当たりの死者数ではフィリピンが最多となった。

フィリピンでは3月16日から4月30日まで、外出禁止令や公共交通機関停止を含むルソン島全体の広域隔離措置が実施されている(2020年4月8日記事参照)。その他の地方自治体も同様の措置を取って、国民全体に行動制限を発令しているが、感染拡大が止まらない状況だ。

日系企業は広域隔離措置解除後の操業再開に向けて課題が山積

外出禁止令や公共交通機関停止を含むルソン島全体の広域隔離措置が終了する予定の4月30日以降の操業再開に向けて、多くの日系企業が準備を進めるが、課題は山積している。

ジェトロが日系企業にヒアリングを行ったところ、「従業員の通勤シャトルバスや工場周辺の宿舎の確保といった工場の操業条件が広域隔離措置解除後も継続された場合、完全なかたちでの操業再開は難しい」「仮に人員を確保できたとしても、作業場や食堂といったスペースでのソーシャルディスタンスの確保が難しい」「マスク、アルコール消毒液といった感染防止に必要な備品が入手できない」といった声が聞かれた。

もう1つの課題は、日本人駐在員の査証(ビザ)だ。フィリピン外務省は3月19日、国籍を問わずに外国人へのビザの新規発給を一時停止、ビザ免除措置の一時停止、発給済みビザの無効化を発表。発給済みビザを保有する外国人のうち、既にフィリピン国内にいる外国人のビザは引き続き有効な一方、フィリピン国外に一時的に滞在中の外国人の発給済みビザの取り扱いは不明な状況から、一時的に日本に滞在している日本人駐在員が広域隔離措置終了後にフィリピンに速やかに戻ることができるかは不明な状況だ。

(坂田和仁)

(フィリピン)

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