バイデン氏が事実上勝利、サンダース氏撤退、米民主党大統領候補争い

(米国)

ニューヨーク発

2020年04月09日

米国民主党の大統領候補の指名を争っていたバーニー・サンダース上院議員(バーモント州選出)は4月8日、選挙からの撤退を発表した。民主党の大統領候補は事実上、ジョー・バイデン前副大統領で確定し、正式に指名を受ける8月の全国党大会後、現職のトランプ大統領との選挙戦が本格化する。

サンダース氏は自宅での会見をインターネット配信し、「バイデン(前)副大統領に(選挙代議員の数で)約300人の差を開けられており、勝利することは事実上、不可能」と述べ、選挙活動の停止を表明した。これまで獲得した選挙代議員はバイデン氏が1,206人、サンダース氏が890人(CNN、2020年4月8日時点)。新型コロナウイルスの影響により多くの州で予備選挙が延期となり、6月2日には10州で686人の代議員を争う予定(2020年4月2日記事参照)だったが、サンダース氏は選挙陣営と相談し、撤退を判断したもよう。

サンダース氏は会見で、事実上の勝利を得たバイデン氏に祝辞を述べ、今後も協力関係を築く意向を示した。その上で、サンダース氏は今後行われる予備選の名簿に残り、代議員の獲得を続け、8月の民主党全国党大会で採択される政策綱領に同氏の公約が反映されるよう影響力を与えることを目指すとしている。同氏は、低所得者などへの社会保障の拡充や国民皆保険制度の実現、奨学金ローンの返済免除などの政策を公約とし若年層を中心に支持を広げ、カリフォルニアやコロラド、ネバダ州などで勝利したが、中道派の他候補が相次ぎ撤退してバイデン氏を支持したことで、他の多くの州で得票率を伸ばせず苦戦した(2020年3月5日記事参照)。サンダース氏の撤退を受けて、バイデン氏はこれまでのサンダース氏の活動をたたえつつ、同氏の支持者に対して「共にドナルド・トランプを倒そう」と自身のツイッターで呼びかけている。

民主党の大統領候補は、残る予備選を経て、全国党大会における選挙代議員による投票で決定される。同大会は、新型コロナウイルスの影響で延期されており、8月17日にウィスコンシン州ミルウォーキーで開催される予定。共和党の全国党大会は8月24日に開催されるため、民主党候補が1週間先に確定する。

(藪恭兵)

(米国)

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