政府、サプライチェーン確保のため、信用保険会社に300億ユーロの政府保証を提供

(ドイツ)

ベルリン発

2020年04月21日

連邦政府は4月16日、商品の流通やサプライチェーンを確保するため、信用保険会社に300億ユーロの政府保証を提供すると発表した。緊急対策パッケージ(2020年3月13日3月18日3月26日記事参照)の一部として新たに打ち出された。

企業間取引では、取引先の倒産や支払不履行より代金回収ができなくなるリスクをカバーする取引信用保険が利用されており、企業倒産の増加など信用リスクが高まれば、信用保険会社は信用限度額を削減したり取り消したりする。このように保証額削減による連鎖倒産の阻止も視野に入れ、連邦政府と保険会社が協定に合意した。

政府が2020年3月から12月末まで最大300億ユーロの政府保証を信用保険会社に提供することで、信用保険会社は4,000億ユーロ分の既存取引を担保する。また信用保険会社は、政府保証額を超える債務不履行リスクについては、最大5億ユーロの損失を負担する一方で、政府に2020年の保険収入料の3分の2 を収める。

ドイツ保険協会(GDV)によると、連邦保証の対象はあくまで新型コロナウイルス危機の影響を受け経営が不安定となった企業との取引に限り、感染拡大前から経営不振であった企業は対象外としている。また、信用保険における保証枠は、輸出取引の約15%を占め、ドイツの輸出産業に貢献するものだという。

この支援策について、オラフ・ショルツ財務相は「この保護対策により、緊急に必要な商品のスムーズな流通が確保されている」と述べた。またペーター・アルトマイヤー経済・エネルギー相は「信用保険会社が支払い不履行のリスクを引き続き負い、国内外のサプライチェーンの維持を支援するため、政府が300億ユーロの保護対策を提供する」と言及した。

(中村容子)

(ドイツ)

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