社会保険庁が既存の社会保険負担金の分割払い制度を周知

(メキシコ)

メキシコ発

2020年04月15日

社会保険庁(IMSS)は4月13日、雇用主がIMSSと協約を結ぶことにより、社会保険負担金の支払いを最大48カ月の分割払いにすることができることを周知した。同制度は社会保険法第40条Cおよび同条Dとして既に2001年末から規定されていたものであり、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大による企業への悪影響を緩和する目的で新たに導入されたものではない。雇用主にとっては、社会保険の雇用主負担分の支払いを分割して繰り延べることが可能だが、繰り延べた分については延滞金利が発生する。分割払い制度の概要は以下のとおり。

  1. 社会保険負担のうち、雇用主が被雇用者の給与から源泉して支払う被雇用者本人負担分は繰り延べできず、また、雇用主負担分の最低20%を協約締結時に支払う
  2. 雇用主負担分の分割払い期間は最長48カ月
  3. 2020年連邦歳入法の第8条IIに基づき、繰り延べた分について、分割払いの期間が12カ月までの場合は月間1.26%、13~24カ月の場合は同1.53%、25~48カ月の場合は1.82%の延滞金利を支払う
  4. 同分割払いの申請方法と必要書類はIMSSの関連サイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照

金利負担が高く、流動性確保の手段としての魅力に乏しい

社会保険負担金の支払い繰り延べは、経済界が政府に求めてきた対策の1つだ(2020年4月9日記事参照)。しかし、経済界は資金繰りに苦しむ企業を支援するため、延滞金利なしの支払い繰り延べを求めている。今回、IMSSが周知した従来の分割払い制度では、年率換算すると16.2124.16の高率の延滞金利が課される。そのため、開発銀行や商業銀行の融資などを受けることができる雇用主であれば、銀行などから資金調達した方が後の返済負担が少なくなる可能性が高い。同分割払い制度は、信用力がないために現状で商業銀行の融資対象になっておらず、また、現政権がCOVID-19対策として計画している零細事業者向け210万件の低利融資(現時点で金利は6.5%を想定)の対象にもならない一部の雇用主に利用が限定されることになるだろう。

(中畑貴雄)

(メキシコ)

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