糖尿病対策で、2021年末までに甘味飲料に栄養成分表示を義務付け

(シンガポール)

シンガポール発

2020年03月13日

シンガポールのエドウィン・トン上級国務相(保健担当)は3月5日、2020年度(2020年4月~2021年3月)予算案審議の中で、糖尿病対策のため2021年末までに、糖分または飽和脂肪酸の高いパッケージ甘味飲料に栄養成分表示を義務付けると発表した。糖分・飽和脂肪酸量の最も少ないAから、最も多いDまで4段階のグレードに分け、CとDについて表示を義務付ける。特に最も糖分が多いDの甘味飲料については、全てのメディアでの広告を禁止する。保健省は2019年10月に、糖分の高い甘味飲料の広告を全面的に禁止する方針を明らかにしていた(2019年10月18日記事参照)。

栄養成分表示は、糖分・飽和脂肪酸量に応じて、グレード分けされ色別で表示される。糖分が100ミリリットル当たり1グラム以下で、飽和脂肪酸が同0.7グラム以下と、最も健康的な飲料はグレードAで、緑色で表示。一方、糖分が10グラム超、飽和脂肪酸が2.8グラム超だと、最も不健康なグレードDで、赤色で表示される(添付資料参照)。グレードDの製品のメディア広告は禁止されるが、店舗内での広告は認められる。甘味飲料に対する規制の詳細は、2020年末までに発表され、1年後に施行される予定。

保健省によると、同国で糖尿病と診断される人は毎年、約1万9,000人に上る。シンガポール国民は砂糖の半分以上を飲料から摂取しており、糖尿病対策の一環として、甘味飲料に対する規制導入に向けた検討が進められていた。トン上級国務相は栄養成分表示の義務付けについて、「国民に健康的な選択ができるよう正しい情報を提供すると同時に、製造会社により健康的な製品をつくるよう促す」のが狙い、と説明した。

タピオカ飲料などドリンクスタンドの甘味飲料も規制対象へ

一方、トン上級国務相は、タピオカミルクティーなどドリンクスタンドの甘味飲料に対しても、栄養成分表示の義務を課す方向で検討していることを明らかにした。ドリンクスタンドへの栄養成分表示の義務について、当初は「大手チェーン店」を対象とする予定。同相はこの大手チェーンの定義を設定するため今後、地元の状況を調査するとしている。

(本田智津絵)

(シンガポール)

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