ウズベキスタン最大の国営冶金企業、株式会社化を経て社債発行へ

(ウズベキスタン)

タシケント発

2020年03月17日

ウズベキスタンのシャフカト・ミルジヨエフ大統領は3月6日、大統領決定第4629号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます「国営企業『ナボイ鉱山金属コンビナート』の再組織について」に署名した。ウズベキスタン最大の冶金(やきん)企業体であるナボイ鉱山金属コンビナート(NGMK)を株式会社化し、組織を再編することを指示した。

同決定ではまず、NGMKに対し企業活動に関する国際基準の導入を指示している。NGMKは、政府機関や国際コンサルタントの支援により、a.ISAR(注1)に準拠した企業財務情報の導入・公開、b.GRI(注2)に対応した経済社会環境報告書の公開、c.JORCコード(注3)基準に沿った鉱物資源埋蔵量の再評価を行う。

2つ目は、NGMKの組織の改編だ。NGMKの名称を、ウラン・希少金属の採掘・加工を行う「国営企業『ナボイ・ウラン』」に改称する。このほか、NGMKの生産資産を基礎に、「株式会社(AO)『ナボイ鉱山金属コンビナート(NGMK)』、政府組織『NGMK基金』」の2つの組織を新設し、国家資産管理庁が出資者となる。

大統領決定第4629号は、株式会社NGMK、ウズベキスタン財務省には2020年5月1日までに国際財務報告基準(IFRS)を導入し、(国際会計事務所による)独立外部監査の実施体制を整えるよう指示。閣僚会議に対しては、2020年11月1日までに3億ドル以上の社債(ユーロ債)を発行する、社内体制整備に向けた具体的措置を取るよう指示している。

地質・鉱物資源国家委員会に対しては、株式会社NGMK、経済産業省と共同で資源探査にかかる長期計画を立案すること、NGMKと(同じく冶金大手の)株式会社「アルマリク鉱山金属コンビナート」に対しては、2020年末までに現在設立中の地質探査科学大学の中に、研究センターを立ち上げることを指示した。

財務省資料によると、NGMKはウズベキスタンで最大の納税企業で、同社からの税収は政府収入全体の12.5%を占める(2019年)。主要事業は金生産。ウズベキスタンでは現在、ミルジヨエフ大統領のイニシアチブの下、エネルギー資源(2019年7月19日記事参照)、金融(2019年12月12日記事参照)など各分野で、巨大国営企業の株式会社への転換、将来的な国外市場での資金調達をにらんだ国際会計基準の導入などが進んでいる。

(注1)国連貿易開発会議(UNCTAD)「会計と報告に関する政府間専門家作業部会(基準)」の略。

(注2)GRIは、サステナブル報告書の普及啓発とガイドラインなどの提唱を行う国際的NPO、Global Reporting Initiativeの略。GRIスタンダードは、GRIが提唱する非財務的観点(環境、人権など)からの持続可能性に関する報告基準。

(注3)JORC規程:資源関係企業の資源量の報告に関する最低基準とガイドライン。探査活動によって得られる探査結果、鉱物資源量、鉱石埋蔵量の報告様式についての基本原則をまとめたもの。

(高橋淳)

(ウズベキスタン)

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