ASEANで首位、製造業購買担当者指数(PMI)が改善

(フィリピン)

マニラ発

2020年03月17日

IHSマークイットは3月2日、フィリピンの2020年2月のIHSマークイット製造業購買担当者指数(PMI)(注)は52.3と発表した。52.1だった前月から0.2ポイント増加し、51.9の前年同月からは0.4ポイント増加した(図参照)。

中国・武漢市を発生源とする、新型コロナウイルス(COVID-19)の世界的な感染拡大を受け、中国国内の工場の停止、中国国内の需要減、世界的なサプライチェーンの乱れといった問題は発生したものの、生産した製品の70%以上を輸出することを求められるフィリピン経済特区庁(PEZA)の製造業を中心に、多くのフィリピン国内の製造業の生産や出荷には影響は少なかったものとみられる。また、PMIを算出する指数のうち、全体の25%を占める生産高、20%を占める雇用、10%を占める購買在庫といった、フィリピン国内の状況への依存度が高い要素には現時点で悪影響は少なかったことも、PMI好調の要因とみられる。

ただし、国別輸入元1位の中国からの輸入の状況については、注視する必要がある。フィリピン政府は2月4日、中国の貨物船のフィリピンへの寄港禁止措置はしばらく発動しない旨を発表(2020年2月7日記事参照)したものの、フィリピン財務省(DOF)のカルロス・ドミンゲス長官は2月18日、2月に入り貿易量は前年比で半減、2月1日から18日までの中国からの輸入コンテナ数は前年同期比で62.2%減少したと発表(2020年2月27日記事参照)するなど、中国からの原材料の輸入には一定程度の悪影響が出ているものとみられる。

なお、ASEAN全体の2月のPMIは50.2で、前月(49.8)から0.4ポイント改善した。ただし、上位2カ国(フィリピン、インドネシア)以外の4カ国は全て減少し、かつPMIが50を下回った。特に前月にASEANで首位だったミャンマーが大幅に減少するなど、ASEAN全体の製造業の業績見通しは先行きが心配される状況だ。ASEANのPMIは高い順から、フィリピン(52.3、前月比0.2ポイント増)、インドネシア(51.9、2.6ポイント増)、ミャンマー(49.8、2.9ポイント減)、タイ(49.5、0.4ポイント減)、ベトナム(49.0、1.6ポイント減)、マレーシア(48.5、0.3ポイント減)となった。

図 フィリピンの製造業購買担当者指数(PMI)

(注)製造業の購買責任者を対象に、生産高や新規受注、在庫レベル、雇用状況、価格などの指数に一定のウエイトを掛けて算出する指数。0から100の間で変動し、50.0は「前月から横ばい」、50.0を超えると「前月比で改善や増加」を意味して景気拡大を示し、50.0未満は「前月比で悪化や減少」として景気減速を表す。

(坂田和仁)

(フィリピン)

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