国籍問わずビザ発給停止、日本人のビザ免除特権も停止

(フィリピン)

マニラ発

2020年03月25日

フィリピン外務省は3月19日、国籍問わず外国人への査証(ビザ)の新規発給と、日本を含む157カ国に現在付与しているビザ免除措置について一時停止すると発表した。ただし、フィリピン国民の外国籍配偶者および子、ならびにフィリピンに赴任する外国政府および国際機関の職員は除くとした。

今回の措置は、3月16日付けで発表された4月13日までのマニラ首都圏を含むルソン地方全体への広域隔離措置および外出禁止令、公共交通機関の停止等の特別対応(2020年3月19日記事参照)を踏まえ、新型コロナウイルス(COVID-19)の国内感染拡大を防止するために講じられたものだ。なお、フィリピン国内の感染者は3月22日時点で380人だ。

発給済みビザを保有する在フィリピンの外国人のビザは有効も、国外一時滞在中の外国人の取り扱いは不明

フィリピン外務省はさらに、フィリピン国民の外国籍配偶者および子、ならびにフィリピンに赴任する外国政府および国際機関の職員に対するものを除き、すでに発給されたすべてのビザを無効とみなすと発表した。ただし、在フィリピン日本国大使館によると、発給済みビザを保有する外国人のうち、すでにフィリピン国内にいる外国人のビザには影響はなく、引き続きビザは有効であるとした。

一方で、現時点でフィリピン国外に一時的に滞在中の外国人のビザの取り扱いは不明な状況であり、3月23日時点でフィリピン政府は明確な発表を行っていない。ノグラレス大統領府長官は3月17日、3月20日以降はルソン島の国際空港からフィリピンを出国することを禁止すると発表したが、その後すぐに撤回した。同発表を受け、一部の日系企業は、3月19日までの限られた航空券を確保し、駐在員や帯同家族を一時的に日本に帰国させており、そうした駐在員や帯同家族のビザの取り扱いについて、フィリピン政府は具体的な方針を示していない状況だ。

不明瞭なフィリピン政府の方針を受けて日本の航空会社も運用に苦慮している。ジェトロが日系航空会社にヒアリングしたところ、フィリピン人または日本の外交官以外は日本発フィリピン行きの便に搭乗することはできないという運用を3月22日付けで開始したとする。

出国のための空港アクセスが困難な外国人のための支援開始

在フィリピン日本国大使館は3月20日、マニラ首都圏外において近隣の国際空港へのアクセスが困難な外国人に対して、フィリピン政府が地方自治体と連携した支援を提供する旨、フィリピン政府から連絡があったと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。支援を要請する外国人は、フィリピン観光省フェイスブック外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますにアクセスの上、メッセンジャーアイコンをクリックし、氏名、正確な所在地、目的地を送信する必要があるとする。提出された情報は、観光省の地方事務所に送信され、地方自治体や運輸通信省と連携して最寄りの国際空港までの移動手段を検討、手配する。なお、移動経費は場合により異なるため、直接フィリピン観光省に確認する必要がある。

(坂田和仁)

(フィリピン)

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