優先分野に取り組む中小企業への税制優遇措置を導入

(カンボジア)

プノンペン発

2020年03月17日

カンボジア経済財政省は2月17日、優先分野に取り組む中小企業(注1)に対して税制優遇措置を行うとする省令(Prakas No. 159 MEF.PK)を発表した。省令は同日に施行され、対象企業は3~5年間の所得税が免除され(注2)、損益算入可能額の優遇を受けることができるようになった。同優遇措置は、新たに設立される企業だけでなく、既に事業を行っている企業も対象となっている。カンボジア政府は同優遇措置を通じて、産業育成を促進し、中小企業の事業の持続可能性を高めるとともに、中小企業による税務登録を推進したい意向だ。

本優遇措置における優先分野は下記のとおり。

  1. 農業および農産物加工
  2. 食品製造・加工
  3. 国内市場向け製品の製造、ごみのリサイクル、観光業向けの製品の製造
  4. 最終製品およびほかの製造業に供給する部品の製造
  5. 革新的なITシステムの研究開発
  6. 中小企業クラスター(注3)に入居し、そのクラスターの発展に寄与する企業

省令によると、優先分野に取り組む企業は、3年間所得税が免除される。さらに、所得税の免税期間は、a.国内の原料調達率が60%以上、b.従業員数の増加率が20%以上、c.中小企業クラスターに入居する、のいずれかの条件を満たす場合、5年間免除される。また、会計システムのIT化や会計、技術スキルの研修にかかる支出の200%、生産性向上につながる革新的な機械への投資の150%まで、損益算入が可能となる。

税制優遇措置を受けるためには、税務総局(GDT)に会社情報を登録、あるいは必要に応じて更新した上で、書面で申請する必要だ(注4)。GDTは、税制優遇措置の承認可否について、10営業日以内に回答するとしている。税制優遇措置を承諾された中小企業は、税法に従って会計記録を保持し、月次および年次の税務申告を行うことが求められる。これに違反した場合、税制優遇措置は取り消され、罰則規定が適用される。

(注1)中小企業のうち、小規模企業とは年収が2億5,000万リエル(約650万円、1リエル=約0.026円)~7億リエルおよび従業員が10~50人の企業。中規模企業とは年収の7億1リエル~40億リエルおよび従業員が51~100人の企業。これらの条件を満たす外資企業も対象となる。なお、適格投資プロジェクト(QIP)の認可を受けている外資企業が対象になるかは不明。

(注2)所得税には事業所得税、前払い事業所得税、ミニマム税が含まれる。詳細はジェトロ「カンボジア 税制」を参照。

(注3)中小企業クラスターの定義は省令に書かれていない。

(注4)申請書はGDTのウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますからダウンロードできる。

(タイ・トー)

(カンボジア)

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