ASEANのサプライチェーンへの新型コロナウイルスの影響が表面化

(ASEAN)

ジャカルタ発

2020年03月13日

IHS MARKITは3月3日、東南アジア主要国(7カ国)の2月の購買担当者景気指数(PMI)(注)ウェブサイト上外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで発表した。7カ国のうち、インドネシアとフィリピン以外の5カ国は前月よりも数値が下落し、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大の影響が、サプライチェーンにも出始めていることが分かった。

シンガポールは1月が51.4だったのに対し、2月は47.0と4.4ポイント減少し、減少幅は7カ国で最も大きくなった。同社は報告書外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、1月末からのCOVID-19感染拡大に伴うサプライチェーンの混乱により、原材料の不足や新規受注が減少したことが原因と分析している。マレーシアのPMIの減少については、「中国からの原材料の調達量が減少し、さらには中国の需要減少に伴い輸出量も減少している」とする。タイについても同様の見方をしている。タイのバンコク日本人商工会議所(JCC)とジェトロがJCC理事企業47社を対象に実施した調査によると、製造業の81%が「中国からの部品、原料、中間財、製品などの調達が遅延・困難になる」と回答した(2020年2月17日記事参照)。

インドネシアのPMIは1月が49.3だったのに対し、2月は51.9と2.6ポイント上昇した。アイルランガ・ハルタルト経済調整相は「輸出入を拡大し、この状況を維持していきたい」と述べた(3月3日付現地紙「ジャカルタ・ポスト」)。一方で、中国からの原材料の調達に今後影響が出てくる可能性を踏まえ、中国から多く輸入しているプラスチックや繊維、化学品などにつき、スリ・ムルヤニ・インドラワティ財務相は輸入許可を拡大していく意向を示した(同紙)。

(注)製造業の購買責任者を対象に、生産高や新規受注、在庫レベル、雇用状況、価格などの指数に一定のウエイトを掛けて算出する指数。0から100の間で変動し、50.0は「前月から横ばい」、50.0を超えると「前月比で改善や増加」を意味して景気拡大を示し、50.0未満は「前月比で悪化や減少」として景気減速を表す。

(上野渉、シファ・ファウジア)

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