南部アフリカ各国でも感染拡大続く

(南アフリカ共和国、モザンビーク、アフリカ)

ヨハネスブルク発

2020年03月30日

アフリカ54カ国(世界銀行、2018年)は世界人口の約17%に当たる13億人を擁するも、世界保健機関(WHO)の3月26日時点の発表では、アフリカでの新型コロナウイルス感染者確認数は2,680人と、世界全体の感染者確認数46万1,972人のわずか0.6%にすぎない。しかし、他地域より遅れながらも感染拡大が見られ始め、人口規模の大きさや医療の未整備、貧困による栄養状態を考慮すると今後感染爆発が起きる恐れがある。また、域内の感染者報告数が他地域に比べて少ない背景には、医療・検査態勢の問題や、政治的な影響により公表されていない可能性があると見る専門家もいる(2020年3月13日記事参照)。

54カ国中、感染者確認数が最も多い南アフリカ共和国では900人(死者なし、3月26日時点)を超え、ナショナル・ロックダウン(3月26日午後11時59分から4月16日深夜までの外出禁止)が実施されている(2020年3月27日記事参照)。周辺の南部アフリカ諸国にも感染は広がっており、島国のモーリシャスは81人、マダガスカルでも23人の感染が確認されている(26日時点)。モーリシャス政府は23日に国民に向けて全面的な外出禁止令を出している。同様に感染者2人(26日時点)のアンゴラも3月20日から旅客便の運航停止と陸路の国境を閉鎖した。WHOによると南部アフリカ域内では他に、セイシェル(7人)、モザンビーク(5人)、ナミビア(5人)、エスワティニ(4人)、ザンビア(3人)、ジンバブエ(2人)で感染者が確認されている(いずれも26日時点)。なお、同時点でボツワナ、レソト、コモロでは感染者は報告されていない。

26日から始まった南アのナショナル・ロックダウン、国境封鎖(燃料や必要品の輸送を除く)を受けて、封鎖直前に2万3,000人にも上るモザンビーク人(主に出稼ぎ労働者)が急きょ帰国したと報道されており(「クラブ・オブ・モザンビーク」3月24日)、同国内では感染拡大への不安が広がっている(2020年3月27日記事参照)。南アには、モザンビークやジンバブエをはじめ周辺国からの出稼ぎ労働者が多いため、こうした労働者の帰国による感染持ち込み・拡大のほか、域内の物流への影響に注視する必要がある。

(高橋史)

(南アフリカ共和国、モザンビーク、アフリカ)

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