ハシナ首相、国民に落ち着いて自宅待機をと要請
(バングラデシュ)
ダッカ発
2020年03月30日
新型コロナウイルス感染拡大のさらなる予防措置として、3月26日から4月4日までの10日間、原則全ての政府機関、オフィスの業務を停止することなどを受けて、3月25日夜、ハシナ首相が国民に向けて演説した。
ハシナ首相はテレビ、ラジオを通じ、約20分にわたり国民に対して、新型コロナウイルス対策についての協力を要請した。3月24日には政府から通達(添付資料参照、ジェトロ仮英訳)を出したことを受け、通達の内容を丁寧に説明した。特に当該10日間は、緊急時を除き外出しないこと、お祈りなどについては自宅で行ってほしいこと、食料品などは十分に足りておりパニックを起こさないこと、などを直接語りかけた。さらに演説の中で、輸出志向産業への300億タカ(約390億円、1タカ=約1.3円)の支援を表明し、10日間工場閉鎖などに追い込まれる企業の従業員の給与補填(ほてん)などに充当されることになる。
政府通達によると、輸出志向型の工場については必要に応じて操業できるとされており、縫製工場を運営する日系企業は、当該期間中3月26日と27日の休日を除き、稼働予定とするところも多い。ただし、公共交通機関が停止するため、従業員が集まらない企業もあり、閉鎖に追い込まれるケースもある。報道によると、ダッカ都市警察のコミッショナーは「緊急時は、リキシャ(人力車)や自家用車については運用可能で、外出して警察に呼び掛けられた際には、理由や状況について伝えてほしい」としている(アマデル・ショモイ、3月25日)。
当該期間中の税関業務は、対応する人数を最小限に限るとしており、輸入は医療製品、生活必需品などの緊急品のみ、輸出は特段の制限を設けないとしている(添付資料参照、ジェトロ仮英訳)。
また銀行については、3月26~28日は休業とし、3月29日以降は午前10時から正午までに限定して営業することとしている。HSBCに確認したところ、輸入時のL/C決済などについては営業するとしているが、別のローカル銀行は、国内決済や現金処理など、緊急時の対応を優先し、L/C業務は実施しない予定としている。詳細は、現地法人や現地取引先などを通じて、取引銀行に確認する必要がありそうだ。
(安藤裕二)
(バングラデシュ)
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