下院議会を5月18日に延期、ムヒディン新政権の組閣を近く発表か

(マレーシア)

クアラルンプール発

2020年03月06日

マレーシアのモハマド・アリフ・モハマド・ユスフ下院議長は3月4日、9日に予定していた下院議会の開会を5月18日に延期することを発表した。元与党連合の希望連盟(PH)は、ムヒディン・ヤシン新首相に対する不信任決議案提出に向け、予定どおりの開会を主張していた(2020年3月2日記事参照)。

ムヒディン新首相による組閣作業が進められており、報道によると、週内にも副首相と財務相、内務相、防衛相の主要4閣僚、翌週には残りの閣僚が指名されるとみられている(「ニューストレーツ・タイムズ」紙3月4日)。ムヒディン新首相を支持する新たな与党連合の主要な構成は、新首相が党首を務めるマレーシア統一プリブミ党(PPBM)、統一マレー国民組織(UMNO)、マレーシア華人協会(MCA)、マレーシア・インド人会議(MIC)、全マレーシア・イスラーム党(PAS)とみられ、サラワク州与党のサラワク政党連合(GPS)が友党となる意向を表明している。人民正義党(PKR)から離党したアズミン・アリ氏が率いる議員グループも新首相支持を表明している。同グループの一部がPPBMに加入したという報道もあるが、公式な発表はない。PASのタキウディン・ハサン事務局長は新たな与党連合の名称について「国民連盟(Perikatan Nasional:PN)」となると述べている。

党内での分裂など情報が錯綜(さくそう)

他方、2月29日にマハティール・モハマド前首相がフェイスブックで投稿したとおり、PPBMでは6人の議員がマハティール前首相を支持するとしており、党内で支持が割れている状況だ。また、党の意向とは別の考えを持つ議員も出始めているなどの報道もあり、実際にPNが議会の過半数を獲得できているのか、依然として正確な情報がつかめないのが現状だ。

前政権の長期計画は維持

ムヒディン新首相は宣誓式翌日の3月2日から首相府で職務に就いており、同日夜に所信表明演説を行った。演説では「シェアード・プロスペリテー・ビジョン2030に注力する」と述べ、2019年10月にマハティール政権が発表した長期計画は継承する意向を示した。また、誠実で汚職・不正のない政府を目指すとし、組閣に当たっては実力があって信頼できるクリーンな人物を閣僚にすると強調した。

(田中麻理)

(マレーシア)

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