政府機関の過剰規制根絶に向けて大統領が行政命令を発令、ビジネス環境改善へ前進

(フィリピン)

マニラ発

2020年03月13日

フィリピンのドゥテルテ大統領は2月21日付で、司法、準司法および立法機関を除く全ての中央、地方政府機関および政府系企業(以下、対象機関)に対して、国民がそのサービスを受けるために障害となっている過剰規制を根絶し、各種申請手続きを簡略化することを求める行政命令(Administrative Order No.23)を発令し、即日発効した。

行政命令は第1条において、対象機関は、法的義務や政策目標を達成するために必要な手続きや要件のみ国民に対して課すことを可能とするとし、時間や手間がかかる審査プロセスについては簡略化することを求め、特に社会的に有益な活動に対する過剰規制を見直すことを対象機関に求める、と規定する。

第2条は、大統領府直轄の「お役所仕事排除局(ARTA)」が、行政命令にのっとって過剰規制の根絶への取り組みを対象機関が行っているか審査する、と規定する。また、行政命令発令後60日以内に、対象機関はARTAに対して、各対象機関が国民に対して提供しているサービスに関する規制リスト、国民が対象機関からサービスを受けるために必要な手続きの内容や手続きに必要な時間、そして規制されている手続きや要件の法的根拠を提出することを求める、と規定する。

ドゥテルテ大統領は2016年の就任以降、公務員のお役所仕事の根絶や汚職対策を強化しており、ARTAは2019年7月、行政手続きごとの最長処理日数を定め、違反した職員に罰金や禁錮などの罰則を与えることによって、お役所仕事を排除し、フィリピンのビジネス環境を改善することを目的とするビジネス環境改善法(共和国法第11032号)の施行細則(IRR)を出した(2019年7月25日記事参照)。今回の行政命令の発令も、そうしたビジネス環境の改善政策の一環として実施したものだ。

世界銀行は、そうしたフィリピン政府の取り組みを評価しており、2019年10月に世界銀行が発行した、世界各国のビジネス環境をランキングした報告書「ビジネス環境の現状2020年版(Doing Business 2020)」において、フィリピンを190カ国・地域中95位とし、前年の124位から上昇した(2019年11月7日記事参照)。フィリピンは、2017年版では99位にランキングしたが、その後は2018年版で113位、2019年版で124位と順位を下げていた。世界銀行は2020年版で、起業のしやすさ、建設許可申請、少数投資家保護の3点が改善されたことを評価し、フィリピンの順位を上昇させた。

(坂田和仁)

(フィリピン)

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