世界銀行の投資環境ランキングで大幅改善、ビジネス環境改善法成立が貢献

(フィリピン)

マニラ発

2019年11月07日

世界銀行は10月24日、世界各国のビジネス環境をランキングした報告書「ビジネス環境の現状2020年版(Doing Business 2020)」を発表。フィリピンは190カ国・地域中95位と、前年の124位から改善した。

フィリピンは、2017年版では99位にランキングしたが、その後は2018年版で113位、2019年版で124位と順位を下げていたが、世界銀行は今回、起業のしやすさ、建設許可申請、少数投資家保護の3点が改善されたことを評価し、フィリピンの順位を上昇させた。

貿易産業省のラモン・ロペス長官は、2018年5月に成立したビジネス環境改善法、および2019年7月に発効した同法の施行細則(IRR)、そして2019年に入り大統領府直轄の「お役所仕事排除局(ARTA)」が組織化されたことが、フィリピンの順位の改善に大きく貢献しているとした。同IRRは、行政手続きごとの最長処理日数を定め、違反した職員に罰金や禁錮などの罰則を与えることによって、いわゆる「お役所仕事」を排除し、フィリピンのビジネス環境を改善することを目的としている(2019年7月25日記事参照)。

また、IRRは各政府機関に対して、申請用紙の簡素化、申請手続きの自動化、申請時間・コストの削減、申請窓口の一本化を求め、特に地方自治体に対しては、地方自治体ごとにばらつきが生じている地方事業税の支払いや、事業許可申請などの行政手続きにかかる日数を、全ての地方自治体で統一することを求めている。

既に各地方自治体ではビジネス環境改善に向けた取り組みが始まっており、例えばマニラ首都圏のケソン市では、ビジネス・ワンストップ窓口を設置し、市の下に位置付けられる最小自治体単位のバランガイが発行する事業許可証や、建設許可申請などを全てワンストップで申請できるように改善した。また、同じくマニラ首都圏のパラニャーケ市、バレンズエラ市、マニラ市でもそれぞれ「エキスプレス・レーン・オペレーション2.0」「シンプル、スピード、サービス・エクセレンス(3S)プログラム」「ファイル、ペイ、クレーム」と名付けたワンストップサービスが開始している。

フィリピンは2019年の順位が上昇したものの、ASEAN10カ国中では依然として7位と振るわない。ASEAN諸国の順位は、降順にシンガポール(全体2位)、マレーシア(12位)、タイ(21位)、ブルネイ(66位)、ベトナム(70位)、インドネシア(73位)、フィリピン(95位)、カンボジア(144位)、ラオス(154位)、ミャンマー(165位)だった。

(坂田和仁)

(フィリピン)

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