ウクライナの新首相に副首相のシュミハリ氏

(ウクライナ)

ワルシャワ発

2020年03月13日

ウクライナの新内閣が3月4日、最高議会で承認され、デニス・シュミハリ氏が新首相に就任した。今回の組閣は前首相のオレクシイ・ホンチャルク氏の辞任に伴うもの。同氏は2019年9月に首相に任命されたばかりで、首相職に就いていたのは半年間だった(2019年9月3日記事参照)。

3月4日時点で決まっている新内閣の閣僚は以下のとおり。なお、一部のポストについてはいまだ決まっていない。新首相のシュミハリ氏は、前内閣で2020年2月から副首相兼共同体・国土開発相を務めていた。

表 ウクライナの新閣僚一覧

シュミハリ新首相は就任に際してのあいさつで、前政権の全ての取り組みと改革を継続する旨を述べた一方、政策の多くの分野を強化する必要があると指摘した。また、2020年の予算見直しを通じた歳出の削減、鉱山労働者への未払い賃金の支払いなどについても言及している。さらに、新型コロナウイルスの感染例がウクライナでも確認されていることについても触れ、コロナウイルスのまん延に対処できる包括的なプログラムが必要だと述べた。

また、同3月4日にゼレンスキー大統領が最高会議で演説を行った。その中で、前内閣について、インフレ率やウクライナ中央銀行基本レートの低下、ギャンブルや違法ガソリンスタンドなどのシャドーマーケット対策、国営企業の民営化、中小企業への融資、経済の自由化の促進などの面で成果があり、腐敗もなかったとしつつも、それだけでは十分でないと発言した。経済面では、「工業生産が5%も落ち込み、多くの部門で4カ月連続の低下が続いている」と述べ、政府は国内生産と新しい生産能力を刺激する方法を提示できていなかったとした。

政治アナリストのボロジミル・フェセンコ氏は今回の内閣総辞職について、ゼレンスキー大統領がホンチャルク前首相の仕事に失望していたことが背景にあった、と分析している(AFP通信3月5日)。また、「アイリッシュ・タイムズ」紙(3月5日)は、1月にホンチャルク氏がゼレンスキー大統領を批判しているとされた音声が流出したことに触れつつ、両氏の間に緊張状態があった、と報じている。

(楢橋広基)

(ウクライナ)

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