AMLO大統領への支持率が初めて50%未満に

(メキシコ)

メキシコ発

2020年03月31日

メキシコの民間調査会社コンスルタ・ミトフスキーが実施するアンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール(AMLO)大統領へのインターネットを通じた支持率調査によると、3月27日発表のアンケート結果において、同大統領の就任(2018年12月)後初めて支持率が50%を下回った。2019年10月までは60%台を維持していたが、その後は右肩下がりだ。特に、2月1日~3月27日には、過去最大の下げ幅(6.1ポイント)となった(図参照)。

図 ロペス・オブラドール大統領への支持率の推移

支持率が下降した要因の1つ目は、政権発足後3年間は増税を行わないという、AMLO政権の公約と異なった税制改正案が2019年11月に公表されたことだ。例えば、たばこやビール、フレーバー飲料に対する生産・サービス特別税(IEPS)が実質負担増をもたらした。2つ目は、メキシコ経済が10年ぶりのマイナス成長となる中、2019年の年間正規雇用創出数も過去10年で最低の34万人強にとどまったことだ。2020年3月に支持率が急低下した要因としては、2月27日にメキシコで初めて新型コロナウイルスの感染が確認され、感染者数が日々増加している状況下、保健省が主導する感染症予防策には一定の評価があるものの、消費低迷が著しいレストランや小売店舗などを救済するための経済対策に対しては、厳しい評価が下されていることがある(現地複数メディア)。

大衆意見公募の実施に猛抗議

3月に入り、企業家調整評議会(CCE)や全国工業会議所連合会(CONCAMIN)、メキシコ経営者連合会(COPARMEX)といった産業界の政府に対する信頼はさらに低下している。3月21~22日にバハカリフォルニア州メヒカリ市で実施された、米国資本コンステレーション・ブランズの新ビール工場設立への大衆意見公募と、その結果に伴う政府による工場建設の差し止め命令に産業界は憤慨しており(2020年3月26日記事参照)、国家と民間企業の間の合法的な契約をほごにする重大事項としてメディアを通じて政権批判を行っている。3月27日付「レフォルマ」紙は、「メキシコは大統領の帝国ではない」という主題の1,800人以上の連名による抗議文書を掲載した。

(志賀大祐)

(メキシコ)

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