納税余剰金、翌年度の前払い事業所得税と相殺が可能に

(カンボジア)

プノンペン発

2020年03月06日

カンボジアの経済財政省租税総局(GDT)はミニマム税(注1)が免除される企業は年度末の決算時に、納税余剰金(注2)を翌年度の前払い事業所得税と相殺できるとする経済財政省令を1月29日に発表した。相殺に当たり、事前の申請手続きは不要で、納税企業は自ら相殺額を計算し、月次の税務申告を行うことができるようになる。

従来、納税余剰金は翌年度への繰り越しが認められるものの、翌年度の前払い事業所得税と相殺できず、還付もされないため、前払い事業所得税の年間合計金額が年度の事業所得税を恒常的に上回る企業では、納税余剰金が蓄積され、税負担が大きくなっていた。今回の省令により、この状況が改善されることになる。

なお、ミニマム税が免除されるのは「適正な会計記録」を保持する場合だ(表参照)。適格投資案件(QIP)取得企業は通常、ミニマム税、前払い事業所得税の両方が免除されるが、「適正な会計記録」として2年分の監査報告書が必要となるため、これがそろうまではQIP(注3)取得企業であっても、納税が求められる。

表 ミニマム税と前払い事業所得税の関係

(注1)付加価値税(VAT)を除く全ての税金を含む年間総売上高の1%相当額を納税する制度。詳細はジェトロ「カンボジア 税制」を参照のこと。

(注2)カンボジアでは、VATを除く全ての税金を含む毎月の売上高の1%相当を前払い事業所得税として毎月、申告・納付することが求められている。この前払い事業所得税の年間合計金額が年度の事業所得税(年度の決算後に分かる所得の20%)を上回る場合に発生する納税余剰金。

(脇坂敬久)

(カンボジア)

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