ジェトロ、トロントでGIJトロント・ヘルステック2020開催、リバースピッチで日系企業がアピール

(カナダ、日本)

トロント発

2020年03月10日

ジェトロは2月20日、創薬・デジタルヘルスなど医療分野に関連するスタートアップ向けに日系企業がプレゼンを行うイベント「Generating Innovation with Japan(GIJ)トロント・ヘルステック 2020」をトロント大学で開催した。GIJは日系企業とカナダのスタートアップとの協業・共創を促すために、2018年度からモントリオールやトロント、バンクーバーなどのカナダ主要都市で実施しており、トロントでは2回目の開催となる。対象分野をヘルステックに特化したところ、参加登録開始から5日で定員の80席が満席となる盛況ぶりだった。

写真 トロント大学内の会場は立ち見もでるにぎわい(ジェトロ撮影)

トロント大学内の会場は立ち見もでるにぎわい(ジェトロ撮影)

今回のイベントでは、在米国・カナダの日系企業8社がプレゼンを行い、来場したスタートアップが熱心に耳を傾けた。イベント後の交流会でも活発な情報交換が行われた。それに続いてオンタリオ州政府が主催した個別商談会でも、日系企業1社当たり約10社のカナダ・スタートアップとの面談が行われるなど、日系企業との協業に対するカナダのスタートアップの関心の高さがうかがえた。

プレゼンを行った日系企業各社からも、トロントのエコシステムやスタートアップを評価するコメントが寄せられた。住友化学アメリカの中島陽介氏は「政府による強力な支援がトロントの特徴だ。特に細胞・再生医療の事業化で政府支援が手厚く、今後この領域ではカナダ、トロントを無視すべきではないと感じている。また、MaRSディスカバリー・ディストリクト(MaRS2019年11月22日付地域・分析レポート参照)、トロント大学、ユニバーシティー・ヘルス・ネットワーク(UHN、5つの病院・医療機関・研究所で構成された研究機関)を中心とした北米最大級の都市型イノベーションハブは、他の地域・都市のイノベーションエコシステム(シリコンバレー、ニューヨーク、ボストン)と比較しても非常に魅力的」という。

写真 住友化学アメリカの中島陽介氏(ジェトロ撮影)

住友化学アメリカの中島陽介氏(ジェトロ撮影)

キッセイアメリカの加藤吉祥氏は「トロントのスタートアップの取り組みや勢いを感じた。規模は別にしてボストンに近いものを感じ、今後、幾つも成長フェーズのスタートアップが出てくる予感がした」と述べた。

写真 キッセイアメリカの加藤吉祥氏(ジェトロ撮影)

キッセイアメリカの加藤吉祥氏(ジェトロ撮影)

過去のGIJにも参加し、カナダの複数のスタートアップに投資しているハイクベンチャーズの安田幹広氏は「トロント大学のお膝元ということもあり、ヘルスケアも人工知能(AI)を活用したスタートアップが多かった印象だ。引き続きウォッチしていきたい」と語った。

写真 ハイクベンチャーズの安田幹広氏(ジェトロ撮影)

ハイクベンチャーズの安田幹広氏(ジェトロ撮影)

(江崎江里子)

(カナダ、日本)

ビジネス短信 1c7781133a809dbe