2019年のGRP成長率、浙江省は6.8%、江蘇省は目標未達の6.1%

(中国)

上海発

2020年03月18日

江蘇省統計局の発表(3月3日)によると、2019年の実質域内総生産(GRP)は9兆9,632億元(約149兆4,480億円、1元=約15円)、1人当たりのGRPは12万3,607元となった。実質GRP成長率は前年比6.1%だが、目標値の6.5%以上には届かなかった(2019年2月6日記事参照)(表参照)。

一方、浙江省統計局の発表(3月5日)によると、2019年の実質GRPは6兆2,352億元、1人当たりGRPは10万7,624元となった。実質成長率は前年比6.8%増(目標値は6.5%前後)で、中国全体(6.1%)を0.7ポイント上回った。

表 江蘇省、浙江省の主要経済指標

輸出入総額をみると、江蘇省は前年比1.0%減の4兆3,380億元となった。米中貿易摩擦の影響を受け、米国向け輸出額は11.5%減の5,434億元、輸入額も14.3%減の818億7,000万元と大きく減少した。一方、浙江省の輸出入額は8.1%増の3兆832億元となった。このうち、輸出は9.0%増、輸入は5.8%増だった。主要な取引国・地域をみると、米国向けが輸出入ともに減少したものの、「一帯一路」沿線国向け輸出入額が16.7%増の1兆458億元と堅調だったことから、全体で前年比プラスとなった。

江蘇省はスマート製造に注力、浙江省はイノベーション強省を目指す

2020年1月に開催された江蘇省第13回人民代表大会(省議会に相当)で、江蘇省政府は2020年のGRP成長率を6%前後とすることを発表した。また、主な目標としては、産業レベルの高度化として第5世代移動通信システム(5G)と工業IoT(モノのインターネット)の発展に注力し、「江蘇製造」を「江蘇スマート製造(智造)」に転換させるとした。また、2019年3月に発生した化学工場の爆発事故以降に注力している。化学産業の安全環境改善のレベルアップについても、さらに全面的に実施していくとしている。なお江蘇省では、長江デルタ一体化を推進していく予定で、全体目標の中に含めているものの、具体的なプロジェクトなどへの言及はなかった。

浙江省政府は1月に開催された浙江省第13回人民代表大会で、2020年のGRP成長率を6%~6.5%にすることを発表した。主な目標としては、「イノベーション強省」になることや、製造業のレベルアップを掲げている。具体的には、デジタル経済5カ年倍増計画(注)を実施し、国家デジタル経済イノベーション発展試験区設立の批准を得て、省内に5G基地を5万カ所に建設する。また、長江デルタ一体化発展を推進するため、江蘇省・浙江省・安徽省産業合作区を建設する。

なお両省ともに、新型コロナウイルス肺炎の影響は各産業に波及するとみられるものの、3月時点では経済への影響について言及されていない。

(注)2018年9月14日に浙江省人民政府弁公庁が発表した、2022年までに同省のデジタル経済を2017年の2倍(4兆元)とする計画。

(龐婷婷、侯恩東)

(中国)

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