新型肺炎、中国国外で初の死者、フィリピンは中国全土からの入国禁止

(フィリピン)

マニラ発

2020年02月03日

フィリピン保健省(DOH)は2月2日、中国・武漢市からフィリピンを訪問していた中国人の44歳男性が新型コロナウイルスによる肺炎で死亡したと発表した。中国国外で初の死亡例となる。

これを受けてフィリピン政府は2月2日、中国全ての地域からフィリピンを訪問する外国人(中国人を含む)について、フィリピンに永住権を持つ外国人を除き、入国を禁止する措置を発表した。

DOHによると、中国人の男性は1月21日に武漢市から香港を経由してフィリピンに入国し、その後セブ島を訪問。1月25日に熱やせき、喉の痛みを訴えてマニラ市内の病院に入院し、新型コロナウイルスの感染が確認された。その後数日間、症状は落ち着いていたが、1月31日から肺炎の症状が急激に悪化し、2月1日に死亡したとされる。

死亡した男性とともにセブ島を訪問していた中国人の38歳女性が1月30日、フィリピンで初の新型コロナウイルス感染患者として、男性と同じマニラ市内の病院で確認されたが、2月2日時点で症状は安定している。

マニラ市内の病院で初の感染、初の死亡例が確認されたことを受け、マニラ市を含む首都圏の多くの薬局やスーパーでは、マスクや消毒剤が売り切れの状態となっている。1月12日に発生したマニラ首都圏近郊の火山噴火(2020年1月14日記事参照)の影響も重なり、マスクの供給が追い付かない状態だ。

武漢市からフィリピンの観光リゾートのボラカイ島を訪問するため、1月23日にフィリピンに到着した中国人約600人について、フィリピン政府は国内感染を防止するため、中国へ強制的に帰国させるなど感染防止の対策を講じていたにもかかわらず、中国国外で初の死者が確認されたことに、フィリピン政府は危機感を募らせている。

(坂田和仁)

(フィリピン)

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