イノベーション起こすインド高度人材採用でセミナー開催

(インド)

アジア大洋州課、イノベーション促進課

2020年02月18日

近年、高度外国人材の活用に、日本国内の企業の間で関心が高まっている。日本の少子高齢化が進む中、外国人材は人手不足を補う意味合いに捉えられがちだが、「高度」外国人材の活用は海外ビジネスの拡大や、新たな発想によるイノベーションの創発の面で、ますます重要視されるようになっている。ジェトロはこうした機を捉え、世界3位のスタートアップ大国で、デジタル人材の供給国でもあるインドを対象に、インドの高度イノベーション人材獲得をテーマとしたセミナーを1月28日に大阪で、1月31日に東京で開催した。こうしたテーマでのセミナー開催は、大阪では初めて、東京では2019年4月に続き2回目となる。東京のセミナーでは、スタートアップを含む幅広い業種の企業から122人が参加し、関心の高さがうかがえた。

今回のセミナーでは、インド高度理系人材の強みや採用する際の注意点、採用後の社内でのコミュニケーションや受け入れにかかる課題などの生の情報を伝えるため、日系大手がインドに置くソフトウエアセンターの元代表や、国内最高学府といわれるインド工科大学ハイデラバード校(IIT-H)で教鞭(きょうべん)を執る日本人教授、IIT-Hでジェトロが実施している日本企業向け採用説明会「ジャパン・デイ(2019年9月25日記事参照)」の参加企業・学生らが登壇した。参加者から語られたインド高度理系人材の強みは、発想力の違いからくるイノベーション能力の高さ、ハングリーさ、などだった。

IIT-Hの教授は「採用は2カ年計画で考えるべき。グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン(GAFA)をはじめとする世界トップ企業と戦わなければならないキャンパスリクルートだけでは、良い人材の獲得は難しく、学部3年生、修士1年生をまずはインターンとして採用し、最終学年向けにも採用活動をすることが重要」と強調した。ジャパン・デイに参加し、実際に学生を採用した日本企業からは、「ダイバーシティこそがイノベーションを生む。言語や文化の違いなどの障壁もあるが、理数分野に強く、チャレンジ精神旺盛なインド人材の活用は経営戦略上重要で、互いに歩み寄ることが大切」との声があった。

セミナー終了後のネットワーキングでは、国際協力機構(JICA)や文部科学省の奨学金を得て、日本の大学に就学しているインド人留学生も参加し、日本企業と交流した。

写真 ジャパン・デイに参加した日本企業によるパネルディスカッションの様子(ジェトロ撮影)

ジャパン・デイに参加した日本企業によるパネルディスカッションの様子(ジェトロ撮影)

(古屋礼子、瀧幸乃)

(インド)

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