新型コロナウイルス感染拡大の経済への影響は限定的か、財務長官ら閣僚が予測

(フィリピン)

マニラ発

2020年02月05日

フィリピン財務省(DOF)のカルロス・ドミンゲス長官は1月30日、新型コロナウイルス感染拡大によるフィリピン経済への影響は小さく、景気後退の局面に入るようなことはないとの見込みを示した。長官はさらに、同日開催した経済閣僚会議で、6.5~7.5%という2020年の経済成長率目標を据え置いたと発表した(「ラップラー」紙ほか1月30日)。

2019年1~10月にフィリピンを訪れた中国人は約150万人で国籍別で2位。フィリピン政府は2月2日、新型コロナウイルスによる肺炎のため中国国外で初の死亡例がフィリピンで発生したことを受け、中国全土からフィリピンを訪問する外国人(中国人を含む)について、入国を停止する措置を発表した(2020年2月3日記事参照)。

フィリピン中央銀行(BSP)のベンジャミン・ディオクノ総裁は1月24日の会見で、ベトナムやタイといった中国との貿易額が大きい国と比較し、フィリピンへの影響は大きくないとする見解を示している(2020年1月31日記事参照)。

一方で、新型コロナウイルスの影響から2020年のフィリピンの経済成長は減速するとの見方を示すエコノミストもいる。ユニオン・バンクのエコノミストは、同ウイルスの感染拡大はフィリピンの経済成長率を年率で0.3~0.8ポイント押し下げるとの予測を発表した(「フィルスター」2月2日)。このエコノミストは、SARSが流行した2003年のASEAN諸国の経済成長率が平均で0.5%ほど押し下げられたことに鑑み、新型コロナウイルスの場合も同等かそれ以上の影響を受けるだろうとみている。

(坂田和仁)

(フィリピン)

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