トランプ米大統領、ケニアとの通商交渉開始を表明

(米国、ケニア)

米州課

2020年02月14日

トランプ米国大統領は2月6日、ケニアとの貿易交渉を開始すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。米通商代表部(USTR)によると、2015年大統領貿易促進権限(TPA)法にのっとり通商交渉を行うとしている。交渉開始時期は明言されていないが、TPA法は通商交渉開始の90日前までに開始の意思を米議会に通知し、30日前までに交渉の分野や目的の詳細を公開することを政府に義務付けている(注)。

USTRによると、米国・ケニア間の2019年の財貿易の総額は11億ドルで、2018年から4.9%上昇した。USTRは同年のケニア向け主要輸出品目として、航空機(5,900万ドル)、プラスチック製品(5,800万ドル)、機械(4,100万ドル)、小麦(2,700万ドル)、ケニアからの主要な輸入品目としては、アパレル製品(4億5,400万ドル)、食用フルーツ・ナッツ(5,500万ドル)、チタン鉱(5,200万ドル)、コーヒー(3,400万ドル)を挙げている。

ロバート・ライトハイザーUSTR代表は声明で、「アフリカにおける貿易協定のモデルとなり得る、包括的かつ高い基準の貿易協定をケニアと交渉し、締結するのを待ち望んでいる」と述べた。さらに「(米国と)ケニアとの協定は、アフリカ大陸自由貿易協定(AfCFTA)(2019年7月31日付地域・分析レポート参照)を含めた、アフリカの地域統合に向けた努力を補完するものだ」との認識を示している。

米国の通商専門誌「インサイドUSトレード」(2018年1月31日)によると、ライトハイザー代表は2018年1月に、「数年経てばアフリカが世界の人口センターとなり、われわれが彼らを正しい方向に導かなければ、中国やほかの国が間違った方向に導くだろう」として、アフリカにおける中国の存在感を指摘した上で、「われわれは間もなくアフリカの中から適正な国を選び、その国と自由貿易協定を発効させる」と発言していた。さらに、米国はアフリカ成長機会法(AGOA)に基づき、ケニアを含むサブサハラアフリカ諸国に対して、一定条件下で関税上の特恵待遇を与えているが、USTRは2018年6月に発表したAGOA実施に関する報告書の中で、サブサハラ諸国との2国間自由貿易協定の締結を目指す意向を示していた(2018年7月4日記事参照)。同年8月には、ケニアとの間で貿易投資にかかるワーキング・グループ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを立ち上げた。

(注)米国憲法では、外国との通商関係は議会が管轄している。TPA法は、この通商交渉に関する権限を大統領に一時的に付与するもの。TPAが大統領に与えられている場合、議会に対する報告・相談義務など、TPA法に定められた目的や手続きにのっとって政権がまとめた通商協定法案は、議会で修正を受けずに賛否のみの採決に付すことができる。

(須貝智也、磯部真一)

(米国、ケニア)

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