財務長官、税制関連法案の早期成立に意気込み

(フィリピン)

マニラ発

2020年02月03日

フィリピン財務省のカルロス・ドミンゲス長官は1月16日、日系企業を含む多くの外資系企業が入居する、フィリピン経済特区庁(PEZA)などの経済特区の税制優遇制度(注)の抜本的見直しを規定する(2019年10月2日付地域・分析レポート参照)税制改革第2弾法案「CITIRA法案(下院第4157号)」を3月までに成立させるとの意向を表明した。1月16日付の「インクワイアー」ほか、地元各紙が報じた。

CITIRA法案は2019年9月に下院を通過し、その後、上院での審議が進められている。年末年始の国会の閉会期間を経て、1月20日から審議が再開されている。ドミンゲス長官は、現政権が進める大型インフラ整備計画「ビルド・ビルド・ビルド」の遂行をはじめとした財源確保のためにも、CITIRA法案の成立は政権の優先事項だとした。

ドミンゲス長官は、現在上院で審議されている酒類および電子たばこ製品の物品税増税法案についても触れ、ドゥテルテ大統領が2019年11月に同法案の早期成立を求めるレターを上院に提出して以降、現在も成立していない同法案についても2020年1月末までに成立させる意向を示した。

物品税増税を目指す背景には、2019年2月に署名したユニバーサルヘルスケア法がある。フィリピンの全国民をフィリピン医療保障公社(フィルヘルス)の健康保険に加入させ、国民皆保険制度(ユニバーサルヘルスケア)を実現しようとするものだ。国民の医療サービス拡充に向けた国民皆保険制度の適正な実施に向けて財源を確保する必要があるため、前述の大統領名レターが出された。

フィリピン財務省は、この物品税増税法案の成立により、2020年に479億ペソ(約1,006億円、1ペソ=約2.1円)の財源を確保し、591億ペソが不足しているとされる国民皆保険制度の予算に充当する。また、同法によって、2020年から2024年までの5年間で3,569億ペソの財源が確保できると試算している。

(注)PEZAに入居する製造業の場合、(1)法人所得税の3~6年間の免除(ITH)、(2)ITH終了後は売上総利益の5%を法人所得税とする特別所得税率の適用、(3)関税、埠頭(ふとう)税、輸出税の免除、(4)税関手続きの簡略化、などが適用されている。

(坂田和仁)

(フィリピン)

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