首都圏の2019年第3四半期のマンション価格が前年同期比34%増、中国人の急増が背景

(フィリピン)

マニラ発

2020年02月14日

フィリピン中央銀行(BSP)は12月27日、2019年第3四半期(7~9月)の住宅価格指数を発表し、マニラ首都圏の分譲マンション(コンドミニアム)価格が前年同期比で33.8%上昇し、統計を開始した2016年以降最も高い上昇率となった。全国平均でも29.1%上昇し、2016年以降最も高くなった。

首都圏の分譲マンション価格の上昇率は、2017年第4四半期(10~12月、15.2%)を除いて、2016年以降1桁台を維持していたが、2019年に入り、第1四半期(1~3月、11.6%増)、第2四半期(4~6月、10.4%増)と2桁台に突入した。

急上昇の背景には、オンラインカジノ企業で働く中国人の急増が要因の1つとされる。オフィス物件の市況も同様で、米国不動産サービス会社クッシュマン・アンド・ウェイクフィールド(CWK)によると、2019年に入り、IT-BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)業界を抜いて、オンラインカジノ事業者がマニラ首都圏内の最大のオフィス需要者になっている。こうした状況にフィリピン国民からは懸念も出ており、中国人労働者が増加していることに、国民の70%が懸念していると回答。地域別では、首都圏で懸念している割合が最も高く、76%に上った(2019年12月19日記事参照)。

一方で、一戸建て物件の状況は異なり、首都圏での価格は前年同期比で2.2%減少、全国平均でも2.4%の上昇にとどまった。

分譲マンションや一戸建てなどを含む住宅ローン全体の承認件数の地方別内訳は、マニラ首都圏が最大で全国の48.7%を占めた。日系企業を含む多くの製造業が立地する工業団地が数多く存在するカラバルゾン地方が25.1%で2位、そのほか、中部ルソン地方(7.6%)、中部ビサヤ地方(6.5%)、西部ビサヤ地方(3.6%)、ダバオ地方(2.8%)、北部ミンダナオ地方(2.3%)となり、首都圏とこれら6地方を合わせると全体の96.6%を占めた。

(坂田和仁)

(フィリピン)

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