国民の7割が中国人労働者の増加を懸念、5割が国家安全の脅威と回答

(フィリピン)

マニラ発

2019年12月19日

フィリピンの民間調査会社ソーシャルウエザーステーションズ(SWS)が12月5日に発表した調査(2019年9月時点)結果によると、フィリピンで働く中国人労働者が増加していることに関して、フィリピン国民の70%が懸念していると回答し、うち31%がとても懸念しているとし、39%がある程度懸念しているとした。一方で、30%が懸念していないと回答し、うち11%が全く懸念していない、19%があまり懸念していないとした。地域別にみると、マニラ首都圏が懸念している国民の割合が最も高く、76%が懸念していると回答し、うち42%がとても懸念しているとし、34%がある程度懸念しているとした。

また、フィリピン国民の52%が、フィリピンで働く中国人労働者の増加は国家安全の脅威だと回答し、うち27%が強くそう考える、25%がある程度そう考えるとした。一方、27%が国家安全の脅威ではないと回答し、うち13%が強くそう考える、14%がある程度そう考えるとした。地域別にみると、マニラ首都圏が国家安全の脅威だと回答した国民の割合が最も高く、59%が国家安全の脅威と回答し、うち39%が強くそう考える、20%がある程度そう考えるとした。

こうしたフィリピン国民の懸念は、労働ビザや営業免許の不保持、付加価値税や所得税、法人税の不払いといった違法営業を行う中国人によるオンラインカジノ事業者が、マニラ首都圏を中心に急増していることが背景にある。カジノ規制当局のフィリピン娯楽賭博公社(PAGCOR)は8月、労働ビザを保有せずに、オンラインカジノで不法就労する中国人が急増していることを理由に、少なくとも2019年末までは営業免許の受け付けを停止すると発表。在フィリピン中国大使館の関係者も、中国人の不法滞在や不法就労への取り締まり強化をフィリピン政府に求めると表明した。

SWSが11月に発表した別の調査(2019年9月時点)結果によると、中国を信頼していると回答したフィリピン国民の割合は21%で、6月に実施された前回(27%)から6ポイント低下した。また、ドゥテルテ政権が始まった2016年6月以降では、18%を記録した2018年6月に次いで2番目に低い水準となった(2019年12月3日記事参照)。

(坂田和仁)

(フィリピン)

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