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英政府諮問機関、新移民政策の提言を発表

(英国)

ロンドン発

2020年02月03日

英国政府の移民政策に関する諮問機関である移民助言委員会(MAC)は1月28日、新移民政策の提言をまとめた報告書を発表した。政府は2019年6月にMACに対して新移民政策の最低収入要件の分析を委託し、9月にはボリス・ジョンソン政権が提唱する、能力や技能などを点数化して一定以上のポイント獲得者にビザを発給するオーストラリア型の移民システム(PBS)に関する分析を追加で委託し、2020年1月中の報告を求めていた。今回の報告書は、早ければ2021年1月から導入される新移民政策の設計に対する提言となっている。

英国はこれまで、実質的にビザのカテゴリーごとに定める要件をすべて満たすことを発給条件としてきた。今回、MACは現行の第2階層(ジェトロの国・地域別情報ページ参照)の移民システムが移民労働者を十分に審査できていないとする根拠はないと評価、新たにPBSを導入する意義はなく、ビザ発給数の上限を撤廃した上で現行の第2階層の枠組み維持を提言している。一方、水準が厳しい特別な才能の所有者向けの第1階層(雇用契約がなくても申請が可能)の審査にはPBSの導入が可能としており、英国への移住希望者のうちPBSのポイントが高い者から毎月一定数、ビザ申請ができる仕組みを提言している。

技能労働者に関する最低年収要件については、一律の最低年収額〔年間3万ポンド(約429万円、1ポンド=約143円)〕と業種別に統計データに基づき定められる収入基準値(注)の高い方とする現行の仕組みを踏襲することを推奨した。ただし、一律の最低年収要件も業種別のものと同様に、統計データに基づく基準値を設定し、賃金上昇の実態にリンクさせるべきとした。一方、MACは別の報告書で、主に高技能労働者を対象とする第2階層ビザの対象を中度技能労働者にまで拡大することを提言しており、合わせて実現すれば、中度技能労働者の流入により、一律の最低年収要件となる金額は現在の3万ポンドから2万5,600万ポンドに低下すると試算している。

新卒者には別の最低年収要件の計算方法があるが、これを簡素化し、年収要件を引き下げることも提言した。さらに、人材不足が課題となっている国営医療サービス(NHS)や学校など公共部門に従事する24の職種に関しては、別基準の最低年収要件を定める一方、その基準は移民労働者の流入による低賃金化を回避するため、国内賃金に準じたものとすることを推奨する。ビザ発給が優遇される人材不足職業リスト(SOL)の最低収入要件の引き下げには、MACは反対している。

英国のEU離脱(ブレグジット)により、従来、EU移民が従事していた低技能労働者不足に関する懸念については、2018年12月発表の移民白書で提言された12カ月間の短期労働者ビザなどで対応可能との評価をしている。

(注)年収額の第1四分位数値(年収が小さい順に並べて全体の4分の1の順位となる値)

(木下裕之)

(英国)

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